為替介入とは 通貨当局の売買や高官発言が影響
キソから!投資アカデミー 為替⑤
為替相場はいつでも景気や金利、経常収支といった各国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)ばかりを映して動くわけではありません。各国や地域の通貨当局の介入などにも大きく影響を受けます。
通貨当局とは日本なら財務省と日銀、米国は財務省や米連邦準備理事会(FRB)、欧州なら欧州中央銀行(ECB)などを指しますが、厳密な定義はありません。海外の政府などと通貨問題を協議したり、政策金利の変更権限を持つ組織を広く通貨当局と呼ぶ場合が多いようです。
政府が自らの勘定で直接、為替取引に乗り出す市場介入は、通貨当局の意志を最も明確に示す政策手段です。相場が急激に変動し、行き過ぎた状況のときに介入によって市場の安定化を図ります。相場を適正な水準に誘導する役割も担っています。
日本では、財務省が実施を判断し、日銀が売買をします。2022年9月には「過度な相場変動に断固として必要な対応をとる」として11年ぶりに介入に踏み切りました。円相場が1ドル=145円台へと急激に下落したことがきっかけです。円買い・ドル売りの介入としては1998年以来で、実施後に円相場は140円台に上昇するなど一定の効果を見せました。
実際に介入をしなくても、通貨当局は発信によって「いつか介入に踏み切るかもしれない」と市場をけん制することがあります。これを「口先介入」と呼び、市場が当局の動きを意識して極端な売買を控える効果があるといわれています。
ただ1日あたりの為替取引が数百兆円を超す外為市場の中で、介入が持つ効果に対しては懐疑的な声もあります。通貨当局の高官発言や市場介入の有無が取引材料として注目されるケースはしばしばあります。各国の景気動向などとバランスをとって見ていくことが大切でしょう。
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