IPO株の購入方法 ブックビルディング期間に申し込み
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新規株式公開(IPO)株を上場前に購入する手順は、既に株式市場に上場している銘柄を売買するのとは異なります。どの証券会社からでも申し込めるわけではないことや、抽選になる銘柄が多いことなど、IPO株を購入するのに知っておきたいポイントをまとめます。
IPO株に申し込むには証券会社で口座を開設しておく必要があります。どの証券会社でもよいというわけではなく、購入したいIPO株の「引受業務」を担当する特定の証券会社に口座を持っていなければなりません。
引受業務を担当する証券会社は、企業が市場に売り出す株式の割り当てを受け、希望する投資家に橋渡しします。どの証券会社が担当するかは、上場が承認された際に証券取引所がホームページ上で公開する「新規上場会社概要」という資料で確認できます。「元引受取引参加者等」の欄に記載されている証券会社が該当します。
その銘柄を購入するかどうかの判断の材料として、上場する企業が作成する「目論見書」が役に立ちます。目論見書には事業内容の説明や過去の業績、株主構成といった企業の詳細が記されています。

必ずしも全ての銘柄が抽選になるわけではありませんが、一般的にIPO株を上場前に購入するには、事前に投資家の需要をとりまとめる「ブックビルディング(需要申告)」期間に申し込んでおくことが必要です。公募・売り出し価格(公開価格)の仮条件の範囲内で「いくらで何株ほしいか」を申告します。
仮条件とは、公開価格を決定するために主幹事の証券会社が機関投資家や金融機関にヒアリングして設定する価格帯のことです。個人投資家らによるブックビルディングを経て、正式な公開価格が決定します。
抽選は公開価格の決定後に行われます。人気の銘柄では倍率が100倍を超えることも少なくないようです。抽選に応募して当選する方法のほかに、証券会社の営業担当者経由で買う方法もあります。ただ後者の方法は対面営業を行う証券会社が大口顧客への営業手段として優先的に割り当てることが多く、「お得意様」でなければ対象にならないこともあります。
ネット証券などでは、取引の履歴や運用資産額にかかわらず「完全平等抽選」をうたう証券会社もあります。当選の確率を高めるために、複数の証券会社に口座を開いて備える個人投資家もいます。運良く上場前に公開価格で入手したとしても、すべての銘柄が上場後に公開価格より高い値をつけるとは限らないことには注意が必要です。