社債とは 企業が発行、格付けで信用力判断
キソから!投資アカデミー 債券・金利⑦
国内外の企業が発行する債券を社債といいます。国に比べ、発行体が借りたお金を返せなくなるリスクが高いとみなされ、その分国債よりも高い利回りが期待できるのが特徴です。最近では小口で購入できる個人投資家向けの社債も増えています。発行した企業が破綻すると元本が全額戻らない可能性が高く、リスクを見極めて投資する必要があります。
社債は株式と違い、企業は投資家に対してお金を返済する義務があります。お金を借りている間は利息を払い、決められた期間(満期)を迎えたら元本を返します。社債の大半は機関投資家向けに販売されますが、個人が証券会社で10万円や100万円といった単位で購入できる「個人投資家向け社債」もあります。
特に最近は個人向けの発行が増えています。2022年度の発行額は23年2月下旬時点で2兆円を超え、過去最高水準に迫っています。
日本ハムは22年10月、個人向けに総額200億円の5年債を発行しました。利率は年率0.37%です。調達した資金は、北海道北広島市の新球場「エスコンフィールド北海道」の建設に関する支出に充てるとしていました。
「北海道日本ハムファイターズボンド」という愛称がつけられたこの社債は、最低投資単位が100万円です。もし100万円投資すれば年3700円の利息を受け取ることができ、5年後に元本の100万円が戻ってきます。大手銀行の定期預金の利率は3年の場合0.002%なので、銀行に預けるよりも大きな利息収入が期待できます。
海外企業が円建てで発行する社債を「サムライ債」と呼びます。自動車大手の仏ルノーは22年12月、個人投資家向けの円建て社債を同社として初めて発行しました。
社債を発行した企業が経営破綻すれば、投資家に元本が返済されない場合があります。信用リスクを判断するための一つの材料は、格付け会社が公表している格付けです。最上級の「トリプルA」から「トリプルBマイナス」までが投資適格とされます。
「ダブルB」以下は一般的に債務不履行(デフォルト)の可能性があり、投機性が高いとされています。格付けが低いほど信用力が劣りデフォルトの可能性が高まる分、利率は高くなります。
社債を発行した当初は格付けが高くても、業績の悪化などで格付けが変わることもあります。格下げされると、買い手が減る場合もあります。信用リスクを回避するために償還日より前に売却することもできますが、相場によっては不利な条件で売らざるを得ない懸念もあります。
償還日までに社債が市場でどれくらいの価格で売買されているかを知るには、日本証券業協会のホームページが参考になります。個別の社債の買い時を考えるには、その企業の業績や株価などを分析するのも有効です。
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