世界の石油統計 在庫水準などに市場関係者が注目
キソから!投資アカデミー 商品⑤
原油の値段は日々変動します。産油国の情勢や世界景気などさまざまな要因が相場を動かしますが、影響が大きいのは需要と供給の関係です。市場の需給を知るには統計調査を使います。市場関係者が特に重視するのは、世界最大級の原油消費国である米国のエネルギー情報局(EIA)が公表する週間統計と、国際エネルギー機関(IEA)の石油市場月報です。
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EIAの統計は原則として毎週水曜日の米東部時間午前に発表されます。ホームページ上に掲載され無料で閲覧できます。統計からは、原油や各石油製品の生産、輸出入、在庫などが全米単位や地域単位でわかります。アナリストやトレーダーなどがまず注目するのは、原油や石油製品の在庫の増減です。一般には在庫の増加が売り材料、減少が買い材料になります。
アナリストは在庫水準も分析します。過去の同じ時期と比べて多いか少ないか、将来の需要をどれだけ満たせるかという点に注目します。
2023年2月1日発表の統計(1月27日時点)をみると、原油(戦略石油備蓄を除く)在庫は約4億5270万バレルと前年同期の水準を9%上回ります。一方で、ガソリンは約2億3460万バレルと前年同期の実績より少なくなっています。22年末の寒波の影響などで製油所稼働率が低下し、原油在庫が積み上がりました。
在庫が何日分の需要を満たすかは、在庫を直近4週間の1日あたり平均需要で割った「在庫日数」から判断します。在庫日数が少ないほど需給は引き締まっています。米国では夏場のドライブシーズンに向けて冬場に在庫を積み増しますが、ガソリンの在庫日数は29.1日分と、21年や22年の同時期の水準を下回っています。
世界市場の需給動向を知る手掛かりとしてはEIA、IEA、石油輸出国機構(OPEC)がそれぞれ公表する月報があります。この中でIEAの石油市場月報はEIAの統計と並び網羅的なデータがあり信頼性が比較的高いとして、相場の材料にもなりやすいとされます。
IEA月報には、地域ごとの石油需給や価格、在庫などのデータが多くあります。最新版の全文は有料ですが、概略はホームページから入手可能です。
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