REITとは 不動産に投資、運用益を分配
キソから!投資アカデミー 投資信託④
REIT(リート)は「Real Estate Investment Trust」の略で、不動産投資信託を指します。投資家から集めた資金でオフィスビルや商業ビル、賃貸マンションなど複数の不動産に投資し、そこから上がる利益を投資家に分配する金融商品です。日本では頭にJAPANの「J」をつけて「J-REIT」と呼ばれます。
大型ビルなどへの投資には、本来であれば多額の資金が必要ですが、REITであれば10万円程度の少額から始めることが可能です。REITは東京証券取引所に上場され、株式と同様に売買されます。商品の流動性が高く、投資家は取引時間内であればいつでも売買ができます。
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REITでは、不動産の運用で得られた利益の大半が分配金に回ります。不動産の賃料収入や売却益から管理費用などを差し引いた残りが利益で、その90%超を分配金に回せば、投資法人はその分配額に対する法人税が免除されるためです。
2001年9月に最初の2銘柄が上場して以来、REIT市場は拡大を続けてきました。現在、東証に上場しているREITは60銘柄にのぼります。
REITには、債券のように配当利回りで評価する側面と、株式のように値上がり益を狙う側面があります。国債など相対的に安全性の高い資産の利回りとの比較が投資尺度の一つで、利回り格差が縮まると投資妙味は薄れます。
株式市場に例えれば、投資法人が企業、投資証券が株、分配金が配当ともいえます。投資法人は不動産を保有するための受け皿です。実際に不動産の購入や売却、管理などの運用を受け持つのは認可を受けた運用会社です。
REITは、賃料収入などを分配金の原資にするため利回りが比較的安定しており、値上がり益より配当収入を重視した投資家に向いた金融商品といわれています。
ただし、REITは元本や利回りが保証されてはいません。市場価格は変動により、投資元本を割り込む可能性があります。テナントの穴を埋められないなど、うまく運用できなければ、賃料収入が減少したり、管理費負担が増えたりして分配金が減るリスクもあります。
REITは投資対象の不動産によって特色が出ます。オフィスビルを中心としたREITの場合、賃料相場は景気変動に比べて緩やかに上下する傾向があり、収益も比較的安定しているのが特徴です。
商業施設の場合は、オフィスに比べ賃料収入が景気動向や入居テナントの売上高に左右されるリスクが高くなります。異なる不動産に投資することでリスクを分散させることも可能です。
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