円、一時155円台 米金利上昇で3カ月半ぶり円安水準
13日の東京外国為替市場で、対ドルの円相場が一時1ドル=155円台まで下落した。7月以来、約3カ月半ぶりの円安・ドル高水準をつけた。米大統領選で勝利した共和党のトランプ前大統領の政策を意識した米国債売りが広がり、米長期金利が上昇している。日米金利差が拡大するとの思惑から円売り・ドル買いが進行した。
トランプ氏の打ち出す関税引き上げや不法移民対策がインフレを再燃させるとの懸念がある。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は12日、物価指標が想定以上に上振れした場合、「利下げを一時停止する理由になる」と話し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが鈍るとの観測が広がった。
トランプ陣営の経済顧問を務めるスコット・ベッセント氏が次期財務長官の有力候補とされている。トランプ氏はドル安を志向しないとの考えを示していたベッセント氏の就任が意識されたこともドル高圧力となった。
13日のアジア時間では米長期金利の指標となる米10年物国債の利回りは4.4%台まで上昇している。米金利の上昇を背景にドルが幅広い通貨に対して買われやすい地合いが続く。対ドルのユーロ相場は12日に一時1ユーロ=1.05ドル台まで下落。2023年11月以来およそ1年ぶりのユーロ安・ドル高水準を付けた。
みずほ証券の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは「1ドル=155円が1つの壁となっていたが、そこから円安方向には目立った抵抗線がない真空地帯だ。短期的には158円程度までは下落する可能性がある」とみる。
一方、円が1ドル=155円台まで下落したことで、市場では政府・日銀による円買い為替介入への警戒感も高まりつつある。前週に加藤勝信財務相が「足元では一方的な、また急激な動きが見られる」と発言するなど、政府サイドからのけん制発言も増えてきた。今後、踏み込んだ発言があるかどうかが円相場の値動きを左右しそうだ。
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