全銀ネット障害、復旧なお見通せず 着金完了へ対応急ぐ
銀行間送金システムで10日発生した障害を巡り全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は11日午前、障害が同日時点でも継続していると発表した。同日午前8時半以降の送金で着金が遅延する可能性がある。10日までに影響が出た少なくとも140万件の送金に関しても順次処理を進め、着金完了へ対応を急ぐ。
全銀ネットは11日午前7時時点で完全復旧のメドはたっていないと明かした。障害が発生した11の金融機関のうち、三菱UFJ銀行は他行向けの振り込みを店頭などで午前11時、ATMなどで正午までの受け付けに制限すると公表した。他行からの入金も含め着金は通常より遅れる見通し。
りそな銀行は入金が翌日以降になる可能性があると周知した。商工組合中央金庫は11日も他行宛ての振り込みを終日停止する。障害の出たほかの金融機関でも他行宛ての振り込みの受付時間を制限する動きが出ている。
全国銀行データ通信システム(全銀システム)の障害は各金融機関のシステムを接続する「中継コンピューター」で発生した。全銀ネットは同コンピューターを介さない代替手段による処理を進めていた。10日夜時点で40万件の入金が未了になっていた。
全銀システムは平日午前8時半から午後3時半まで稼働する「コアタイムシステム」と、それ以外の時間に対応する「モアタイムシステム」で構成される。モアタイムの時間は三菱UFJ銀やりそな銀など各行で送金が可能だった。11日のコアタイムにあたる午前8時半までに復旧が完了できるかが焦点になっていた。
システムの不具合が発生したのはほかに三菱UFJ信託銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、山口銀行、北九州銀行、もみじ銀行、日本カストディ銀行、JPモルガン・チェース銀行の合わせて11金融機関。全銀システムで顧客取引に影響が出る障害が起きたのは1973年の稼働以来初めて。
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(更新)
全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は2023年10月10日、銀行間送金システム「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」に障害が発生したと発表しました。三菱UFJ銀行やりそな銀行など10の金融機関で他行宛ての振り込みができなくなり、児童手当の振り込みなど計255万件の送金が滞りました。障害は10月12日に復旧しました。
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