証券取引所とは 市場のインフラ、売買つなぎ株価を決定
キソから!投資アカデミー 株式㉒
投資家が売買する株式は通常、証券取引所に上場しています。取引所は株価を円滑に決めたり、売買の公正を確保したりする大事な役割を担っています。企業にとっては株式発行で資金を調達する場所でもあります。資本市場のインフラである取引所の仕組みや機能を見てみましょう。
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国内には東京、名古屋、札幌、福岡の4つの証券取引所があります。2013年に当時の東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合し、日本取引所グループ(JPX)が誕生しました。現物株の取引を東証に、指数先物やオプションなどデリバティブ(金融派生商品)の取引を大阪取引所に集約しました。
投資家が売買注文を出すのは口座のある証券会社です。取引所は証券会社を通じて銘柄ごとにたくさんの売りと買いをすり合わせて株価を瞬時に決めます。決定した株価をすぐに市場参加者に知らせます。取引が盛んな取引所ほど売買が成立しやすくなるため、さらに注文が集まるという特徴があります。日本株の売買の大半は東証に集中しています。
取引所にとって上場企業は一種の商品といえます。魅力ある企業をそろえたり、品質を管理したりするのも大事な役割です。
取引所はまず、投資家が売買するのにふさわしいか企業を審査します。長年、業績が振るわなかったり、財務内容に不安のある企業などは上場できません。特定の株主が株式の大半を握っていたり、株主数が非常に少なかったりする場合も審査を通りません。上場後も重大なルール違反があれば、上場廃止などの処分をします。
取引所は上場企業に対して適正な情報開示を求めています。提出した決算短信などはインターネットのホームページで見られます。担当者は日々の売買も監視しています。重要な情報の公表前に売買するインサイダー取引や意図的に株価を操作するような不公正取引に目を光らせています。
企業は上場に際して新たに株式を発行して投資家から資金を集めるのが一般的です。好調な業績を保てば上場後も良い条件で株式を追加発行しやすくなります。
上場する先は成長段階に応じて分かれます。22年4月、東証の市場改革で従来の市場1部や2部などは廃止され、プライム、スタンダード、グロースの3市場に再編されました。プライム市場は機関投資家が安心して投資対象にできる市場というコンセプトで、実質的な最上位市場に当たります。一方、グロース市場は成長期待の高い新興企業向けという位置づけです。
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