株主総会 企業の最高決定機関、役員人事や配当を議決
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株主総会は取締役の選任や配当といった重要な経営案件を決議する、企業の最高決定機関です。投資家は株主として、株主総会に参加できます。株主は原則として保有株数に比例した議決権を持ち、その行使を通じて経営に参加することができます。
株主総会には、決算期ごとに開かれる定時株主総会と、株主側の要請や会社側の都合で開かれる臨時株主総会があります。企業は総会に出席可能な株主を確定する「基準日」を設定し、その時点で株主名簿に名前があった株主が議決権を行使できます。
3月期決算企業の場合、多くは3月末を基準日と定めています。株主総会は基準日から3カ月以内を目安に開くため、定時総会の開催は6月下旬に集中する傾向にあります。企業は遅くとも開催2週間前までに、議案の内容を盛り込んだ招集通知を株主に届けます。株主は実際に出席するだけでなく、郵送やインターネットでも議案への賛否を投じることができます。
株主総会は自らの目で投資先の会社を見定める絶好の機会です。議案の採決に先立ち、多くの経営トップが終わった期の事業活動や財務の状況を、株主に説明します。「社長が堂々と戦略を語っているか」「経営陣の息は合っているか」など多くの見どころがあります。オンラインで総会の様子を中継する会社もあります。
かつては同じ日に多くの会社が総会を開いていました。日本取引所グループのまとめでは、3月期決算会社の場合、特定の日に集中する割合は1995年に最も高い96%に達しました。
これに対し投資家から「総会日程が集中し、議案を精査する時間も足りない」との不満の声が上がりました。会社側はこれに配慮し、開催日の分散が進みました。集中率は22年、26%まで低下しました。
株主総会では会社側が提示する議案とは別に、株主も議案を提案できます。保有株数や保有期間など一定の条件を満たした株主が対象で、総会の8週間前に会社側に通知する必要があります。
最近は、会社の経営に課題があるとみた投資ファンドなどが、株主として配当額の引き上げや会社提案とは違う取締役人事案、事業再編策などを提案することが増えてきました。一般株主からの賛同を、競い合うことになります。
近年は、経営のなれ合いを防ぐ目的で企業同士の持ち合い株が減りました。それに伴い、会社提案に賛成する立場の「与党株主」の割合が低下しています。
機関投資家も是々非々で株主提案への賛否を決めるようになりました。提案に一定の合理性があれば多くの賛成を集める株主提案も出てきています。
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