天然ガスとは メタンが主成分、環境対策で消費量増加
キソから!投資アカデミー 商品⑥
天然ガスはメタンを主成分とする化石燃料で、主に発電燃料や都市ガスの原料として使われます。生産国が世界各地に広がっており、石油や石炭など他の化石燃料と比べると、燃焼したときに排出する温暖化ガスが少ないとされることから、消費量は年々増加しています。
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米国ではニューヨーク市場のヘンリーハブ先物、欧州ではオランダTTFが価格指標となっています。アジアでもスポット(随時契約)の取引などの価格があり、日本市場でも参考にされています。
天然ガスの取引には、日本を含むアジアと米国では主に「BTU(英国熱量単位)」という単位を使います。「British Thermal Unit」の略でビーティーユーと読みます。1BTUは質量1ポンド(約0.45キログラム)の水の温度をカ氏1度分上昇させるのに必要な熱量で、カロリーに換算すると252カロリー。およそマッチ1本を燃やしきる際に放出される熱量に例えることもあります。欧州では「メガワット時」を使うことが多いです。
天然ガスを運ぶ方法としてはパイプラインを使う方法と、天然ガスをマイナス162度まで冷却して液体にしてタンカーで輸送する方法があります。海に囲まれた日本が使う天然ガスの多くは、液化天然ガス(LNG)として海外から輸入されます。液化すると体積が気体の約600分の1となり、専用船での大量輸送や、需要地の近くのタンクでの貯蔵も可能になります。
日本は中国と並び世界最大規模のLNG輸入国で、両国の輸入量を合計すると世界の輸入量の約4割(2021年)を占めます。アジア市場のLNGスポット価格は23年2月上旬時点で100万BTUあたり18.5ドル台となっています。
天然ガスの価格変動要因としては、まず天候が挙げられます。寒波で冬場の暖房需要が高まれば価格は上がります。一方、暖冬になると在庫が積み上がり、天然ガス価格は軟調になりやすいです。需要面ではほかに中国や欧米などの経済活動の増減も価格に影響を与えます。
供給面では、LNGプラントやパイプラインなどの生産・輸送設備の稼働状況などが価格に影響します。地政学リスクも要素です。LNGの生産国と消費国といった間で緊張関係が高まると、供給網が停滞し相場が高騰する例があります。
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