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金利上昇の要因 景気や債券需給が影響

キソから!投資アカデミー 債券・金利⑭

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金利の上昇には「良い金利上昇」「悪い金利上昇」という2つのシナリオがあります。金利の動きを決めるのは、景気の先行きなどのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)だけではありません。国債に対する投資家の需要がどの程度あるかという需給バランスも大きく影響します。そのバランスが変わる理由によって、金利上昇の意味は変わってきます。

「良い金利上昇」とは、投資家が経済成長率の伸びやデフレからの脱却を見込んで、金利が上がるシナリオです。景気が回復に向かうと、企業は新たな投資に向けた資金を調達しようとします。企業の資金需要が高まると銀行は貸し出しを増やし、「お金の値段」である金利も上昇に向かいます。

景気回復は株価の上昇を促すため、投資家はより高いリターンを求めて株式への投資を増やし、債券の保有比率を下げようとするでしょう。投資家が債券を売ると債券価格は下がります。債券価格と金利は逆方向に動くので、金利は上がります。

一方、「悪い金利上昇」は国の財政悪化を織り込み、金利が上昇するシナリオです。英国で2022年に起きた動きが典型です。同年9月に発足したトラス政権は国民に対し、大規模な減税策を打ち出しました。市場はこれを財政の悪化要因ととらえました。国債の信用リスクが高まるとの懸念から、投資家は英国債売りに走り、金利は急騰(債券価格は下落)しました。トラス政権への打撃は大きく、発足からわずか1カ月半でトラス内閣は退陣に追い込まれました。

日本で悪い金利上昇が起こる心配はないのでしょうか。日銀が13年に異次元緩和を始め、国債を大量に買っていたことで、長らく低金利環境が続いていました。日銀による国債の保有割合は22年9月末に5割を超え、過去最大となりました。

ただ日本でも徐々に金利が上がりやすい環境になりつつあります。日銀は22年末、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りの許容変動幅をプラスマイナス0.25%程度から同0.5%程度に拡大しました。22年2月に始まったウクライナ危機の影響で資源や穀物の価格が上がり、物価上昇率が目標の2%を超える月も目立ちます。

政府の借金である国債の発行額は増加傾向をたどっています。22年末には、将来の税収で返す必要のある普通国債の発行残高が初めて1000兆円を超えました。日銀が緩和色を弱める一方で政府の財政赤字が大きいままだと、悪い金利上昇に陥るリスクもあると言えそうです。

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