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株価と需給 海外投資家の売買動向が影響

キソから!投資アカデミー 株式④

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誰が買ったり売ったりしているかを示す需給情報は、株式相場の動きを考えるうえで重要なヒントになります。個人投資家に加えて、年金基金など機関投資家や海外投資家といった市場参加者それぞれの投資行動をつかむことが重要です。

株価は企業業績や金利などに加え、誰が、いつ、どれだけの株式を売買するかといった需給の影響を受けます。需給バランスを把握するために注目されるのが、日本取引所グループ(JPX)が公表する投資部門別売買状況です。

毎週第4営業日、祝日がなければ木曜日の午後3時に前週分のデータが公表されます。証券会社などには発表されたデータを見やすくまとめ、ホームページなどで解説しているところもあります。

データから海外投資家、個人、金融機関などによる株式の売買金額と売買高がわかります。市場関係者は投資家(投資主体)ごとの売りと買いの差し引きの金額に注目しています。売った金額が買った金額を上回れば「売り越し」となり、逆の場合は「買い越し」です。売買の合計金額の増減をみれば、取引がどの程度活発なのかも分かります。

海外投資家には日本に拠点のない機関投資家だけでなく、海外の個人も含まれます。2022年の東証プライム市場の年間売買代金のうち約7割を海外投資家が占めました。海外勢の存在感は大きく、相場のトレンドを形成しているといっていいでしょう。

海外勢の売買の特徴は、株価が上昇している時に買い、下落局面で売る「順張り」の戦略をとることが多い点です。株価の上昇局面で買い越しが続いていれば、一段高の期待が高まります。一方、個人投資家は反対に株価が上がると売り、下がると買うという「逆張り」の傾向が強いとされます。

たとえば日銀が金融緩和策の一部修正を発表し日経平均が大幅に下落した22年12月19〜23日の週の売買動向をみると、その傾向は明らかです。海外投資家は現物株と先物の合計で1兆53億円売り越したのに対し、個人投資家は3743億円の買い越しでした。

事業法人と信託銀行も相場に影響を与える投資主体です。事業法人とは証券会社以外の株式会社などを指し、その売買動向からは企業の自社株買いの状況がわかります。日本企業は近年、株主還元や資本効率改善のため自社株買いを積極的に進める傾向があり、事業法人は日本株の買い手となっています。

信託銀行には取引を受託している年金基金の売買が反映されます。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などは保有する資産の割合を定めているため、株価が下落し保有資産に占める株式の割合が下がると調整の買いが入ります。

下落局面で事業法人や信託銀行の買越額が増えていれば、相場の底入れ期待が出てきやすくなります。

長い目線で投資主体の傾向を見ることも重要です。例えば、相場のトレンドを主導する海外投資家の売り越しが続いていると、何か好材料となるきっかけがあれば大幅に買い越す余地があるとも考えられます。

景気の動向や金利、企業業績などに加えて需給にも注目することで、相場の波を味方につけやすくなるでしょう。

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