日中外相が会談 上川氏、水産物輸入停止「即時撤廃を」
【ビエンチャン=馬場加奈、田島如生】上川陽子外相は26日、ラオスの首都ビエンチャンで中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相とおよそ50分間会談した。東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出に関し、中国による日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃を改めて求めた。
両外相は処理水問題の解決に向けた協議プロセスを加速する考えで一致した。外相の相互訪問を含め「重層的に、リズム良く、かつ粘り強く意思疎通を積み重ねていく」と確かめた。
共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」の推進に向けた意思疎通・往来を歓迎した。
王氏は会談後、処理水について記者団に「一刻も早く解決策を見いだす必要がある」と語った。放出の影響を国際的に監視する体制づくりの必要性を重ねて唱えた。
会談は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の外相会議に合わせた。2023年11月の韓国・釜山以来およそ8カ月ぶりだ。上川氏は「日中は粘り強く対話を進める必要がある」と述べた。王氏は「中日関係は今、前進か後退かの重要な段階にある」と語った。
日中の人的交流の拡大で具体的な成果を得る重要性を確認した。会談後、王氏は記者団に「日本の友人の訪中を歓迎する」と話した。
中国で拘束された邦人の早期解放も強く要請し「日本人や日系企業が中国で安心して活動できる環境が極めて重要だ」と指摘した。公船の侵入や排他的経済水域(EEZ)へのブイ設置など沖縄県・尖閣諸島周辺の問題に中国の対応を強く要求した。
ロシアとの連携を含む日本周辺での軍事活動の活発化や南シナ海情勢などに深刻な懸念を表明した。台湾海峡の平和と安定の重要性も伝えた。
11月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)や20カ国・地域(G20)の首脳会議がある。日本政府は習近平(シー・ジンピン)国家主席との首脳会談の開催へ対話を積み上げようとしている。
岸田文雄首相と習氏は23年11月に米サンフランシスコで会談し、戦略的互恵関係を再確認した。24年5月にはソウルで岸田首相と李強(リー・チャン)首相が会談し、人的往来の拡大などを確認した。
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