下請法逃れの資本金操作、対策を協議 公取委・中企庁
公正取引委員会と中小企業庁は24日、下請法の見直しを議論する有識者会議を開いた。企業が意図的に資本金を増やしたり、減少させたりして法律の適用を外す「下請法逃れ」への対策を協議した。政府はサプライチェーン(供給網)全体で適切な商取引を促すため、2024年内にも同法の改正案をまとめる。
下請法は親事業者が優位な立場を利用し、下請け事業者に無理な値引きを強いることなどを規制する。違反行為には指導や勧告を行う。
下請法が適用されるかどうかは親事業者と下請け事業者の資本金額で決まる。発注側の資本金が3億円以下1000万円超なら、下請けは1000万円以下といった条件がある。
たとえば、資本金1億円の親事業者の要望で下請け事業者が資本金を1000万円から1200万円へ増資した場合、下請け法の適用外となる。中企庁の調査によると、繊維業界では売り上げの維持と引き換えに下請け側が増資を求められる事例があった。親事業者が減資して規制から逃れるケースもあるという。
有識者会議では新たに別の基準を設けるといった対策案を議論した。中企庁の山本和徳事業環境部長は会議で「下請法の適用基準は適切かつ有効なものにしなければならない」と述べた。
資本金の操作を巡っては、都道府県が企業に課す外形標準課税でも減資による課税逃れが問題となった。24年度の税制改正で現行の「資本金1億円超」に加え、「資本金と資本剰余金の合計額が10億円超」という新たな基準が追加された。
東京商工リサーチによると、23年3月までの1年間で資本金を1億円超から1億円以下に減資した企業は前年比28.7%増の1235社だった。新型コロナウイルス禍の損失を埋めるための取り崩しや組織再編が背景にあるとされる一方で、事業規模に見合わない減資の動きもみられる。