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24年度の実質成長率は0.7%、25年度は0.9% NEEDS予測

消費・設備投資が景気下支え、外需はマイナスに

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日本経済新聞社の経済・金融データサービス「NEEDS」の日本経済モデルに、内閣府が8月15日に公表した2024年4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値を織り込んだ予測によると、24年度の実質成長率は0.7%、25年度は0.9%の見通しとなった。

4〜6月期に2四半期ぶりのプラス成長となった日本経済は、7〜9月期以降も個人消費や設備投資など国内需要の持ち直しが続き、緩やかなプラス成長となる見通し。輸出は前期比で増加基調を保つものの、海外経済が鈍化傾向となることから伸びは徐々に低下する。一方、輸入は内需の回復に伴って比較的堅調に推移し、外需の成長率に対する寄与は24年度、25年度ともマイナスを見込む。

実質GDPは前期比0.8%増――24年4〜6月期

24年4〜6月期の実質GDPは前期比0.8%増(年率換算で3.1%増)と、2四半期ぶりのプラス成長となった。民間最終消費支出(個人消費)は前期に自動車メーカーの認証不正問題で落ち込んだ自動車の販売が回復し、前期比1.0%増と5四半期ぶりのプラスだった。住宅投資は同1.6%増、設備投資は同0.9%増となった。民間在庫変動と合わせた民需の成長率への寄与度は0.6ポイントだった。

政府消費は前期比0.1%増、公的固定資本形成(公共投資)は4四半期ぶりプラスの同4.5%増で、公的在庫変動と合わせた公需の成長率への寄与度は0.2ポイントだった。

輸出は前期比1.4%増と2四半期ぶりに増加した。輸入は同1.7%増で、外需の成長率への寄与度はマイナス0.1ポイントとなった。

所得の改善持続が個人消費を支える

4〜6月期の個人消費は自動車販売の回復が底上げした側面が大きいが、7月もその傾向が続いたもようだ。自動車の業界団体が公表した7月の国内新車販売台数(乗用車、軽自動車含むNEEDS算出の季節調整値)は、4〜6月平均比7.7%増と好調に推移した。

厚生労働省が公表した24年の春季賃上げ率が1991年以来33年ぶりの高水準となるなど、所得環境の改善は順調に進んでいる。厚労省公表の6月の毎月勤労統計(調査産業計、5人以上、確報)では、現金給与総額(共通事業所ベース)が前年比5.1%増加した。所定内給与は同2%台の伸びが2月以降続いているほか、特別給与が同8.6%増加した。

物価上昇が消費の伸びを抑える要因とはなるが、6月から始まった定額減税の効果もあり、24年度内の個人消費は四半期の伸び率が前期比0.5〜0.8%増と堅調に推移すると見込む。その後は、おおむねゼロ%台前半の緩やかな増加が続く見通し。個人消費は24年度、25年度ともに前年度比1.3%増と予測している。

設備投資は好調に推移

日本政策投資銀行が8月6日に発表した24年度の設備投資計画調査によると、大企業(全産業)の設備投資額は前年度比21.6%増の計画だった。半導体関連の能力増強投資や、電気自動車(EV)といった分野の投資が増えると見込まれている。

24年度の法人企業統計ベースの経常利益は、年度では依然円安となることや内需の底堅さなどを受けて、2年連続2ケタ増と予測している。好調な企業業績を背景に企業は投資を積極化させるとみており、GDPベースの実質設備投資は7〜9月期以降も増加が続く見通し。24年度の実質設備投資は前年度比2.6%増、25年度は同1.7%増と予測している。

輸出は徐々に伸びが低下

財務省が公表した貿易統計を基に日銀が算出した7月の実質輸出(季節調整値)は、前月比1.0%増と2カ月連続で増加した。4〜6月平均比では1.5%増で、米国や中国向けでは同比マイナスだったものの、欧州連合(EU)や中国以外のアジア向けが伸びた。

米国では労働省が公表した7月の雇用統計で失業率が4カ月連続で上昇するなど、景気減速を示す指標が目立ってきた。ただ、米連邦準備理事会(FRB)は9月以降、金融緩和を進めるとみており、米国経済はソフトランディング(軟着陸)へ向かうと予測している。

日本のGDPベースの実質輸出は7〜9月期も回復が続き、前期比で1%台の伸びを見込むが、海外経済の鈍化を受けて、25年末にかけて徐々に伸びが低下していく。24年度の実質輸出は前年度比0.8%増、25年度は同2.5%増の見通しだが、24年度は1〜3月期の水準が落ち込んだことによるマイナスの「ゲタ」が大きく、ゲタを除くと同2.8%増になる。輸入は内需の底堅さを反映して比較的堅調に推移するため、外需の成長率に対する寄与度は、24年度は2年ぶりにマイナスに転じマイナス0.4ポイント、25年度もマイナス0.3ポイントと見込んでいる。

なお、今回のNEEDS予測は、日本経済研究センターが8月に公表した短期予測をベースにしている。

(日本経済研究センター 山崎理絵子、情報サービスユニット 渡部肇)

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