九州地域戦略会議、半導体の新特区要望を検討 国の広域連携支援で

九州と山口、沖縄の9県からなる九州地方知事会と経済団体でつくる九州地域戦略会議は27、28日の両日、沖縄県名護市で会合を開いた。半導体産業のさらなる集積に向け、政府への要望項目として「新生シリコンアイランド九州」のための新たな特区創設などを検討することで合意した。
今後、政府の「広域リージョン連携」制度による財政支援を受けるため、具体的なプロジェクトについて議論していく。
広域リージョン連携は、県域を越えた官民連携を資金面で支援する政府の新制度。戦略会議は新制度の活用をすでに宣言しており、新たな特区制度に加えて共同研究開発の促進制度について、具体的なプロジェクトや役割分担、実施体制などをまとめたビジョンを今後策定する。
戦略会議の共同議長である九州地方知事会の河野俊嗣会長(宮崎県知事)は、同日開いた記者会見で「これまでのプロジェクトを広域リージョン連携に合わせて整理する。具体的な支援策を九州の取り組みの後押しにしたい」と語った。

シリコンアイランド九州では産学官の連携拠点を5件整備することを計画しており、九州経済連合会が2024年に立ち上げた「情報連絡会」が中心となって、実現へ向けた具体的な検討を進めている。共同議長を務める九経連の池辺和弘会長(九州電力会長)は「具体的な取り組みについてスピードを上げて検討していく」と話した。
半導体産業に関連した連携の中心となる拠点整備については、用地の整備に関する規制緩和や進出企業に対する税制支援などができるよう、新たな特区制度の創設を要望項目として検討する。企業主導型の産学共同研究への財政支援や兼業規制の緩和など、産学連携による共同研究開発の促進に関する仕組み作りなども要望する考えだ。
ビジョンに盛り込む内容としては、半導体企業などを誘致するための工業団地整備に関する調査に対し、市町村向けの補助も検討する。サプライチェーン(供給網)強化に関する需要に対して各県の企業が解決策を提案する場を設けることや、中小企業のコア技術などのデータベースを活用したマッチングの基盤構築についても検討する。

九州合同商談会の開催や海外の大型展示会での九州パビリオン出展、中高生を対象とした教育プログラムによる人材確保も検討する。
出席者からは、熊本と北九州のサイエンスパークを連携させる案や、半導体の自給率向上へ向けて地元投資を呼び起こす施策の必要性を訴える意見があったという。
会合では日本維新の会が提唱する「副首都構想」に関しても意見が出た。出席者からは、「大阪ありき」で議論が進むことを危惧する声や、福岡を念頭に置いた副首都構想に言及があったという。
会合後の記者会見で池辺会長は「情報通信の時代に1カ所に副首都を決めるのは古いのではないか。首都機能の補完であれば九州で機能を分散して副首都としても良いだろう」と話した。
この日は自転車の国際レース「マイナビ ツール・ド・九州2026」を10月9〜12日に開催することも発表した。長崎・福岡・熊本・宮崎・大分に加えて、新たに佐賀も含めた6県で開催する。
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