英中銀、2会合ぶり政策金利維持　利下げも示唆

【ロンドン=大西康平】英イングランド銀行（BOE）は19日、2会合ぶりに政策金利を据え置くと発表した。ベイリー総裁は、インフレ鈍化が続けば「徐々に利下げが可能になるはずだ」として、今後の追加利下げの検討を示唆する姿勢を示した。

18日まで開いた金融政策委員会で、政策金利を5%に維持すると決めた。投票権を持つ9人のうち、ベイリー総裁を含む8人が据え置きに賛成し、1人が0・25%の利下げが必要として反対した。8月には4年5カ月ぶりの利下げを決めていた。

政策金利を据え置いたのは、根強いインフレへの懸念が残るからだ。8月の消費者物価指数の前年同月比の上昇率は、BOEの物価目標である2%を2カ月連続で上回った。特に賃金の伸びが高止まり、サービス価格が5.6%と前月の5.2%から上昇に転じた。

ただベイリー総裁は「利下げをした8月以降のインフレ圧力の鈍化が続く。経済は想定通りに動いている」とやや楽観的な認識も示した。「利下げが速すぎず、大きすぎないように注意する必要がある」としつつ、市場がメインシナリオとして想定する11月や12月の利下げに道を開く姿勢とも受け止められそうだ。

量的引き締め（QT）による保有国債について、25年9月までの年間削減目標も決めた。償還と市場売却を合わせて1000億ポンド（約18兆7000億円）と、これまでの目標を据え置いた。

金融政策の先行きに関しては、主要な声明文の文言を変えなかった。「根強いインフレのリスクを注視し続けて、各会合で金融引き締めの適切な度合いを決める」や「十分に長い時間引き締めを維持する必要がある」とした前回までの表現を残した。