マクロン仏大統領、NATO東京事務所に反対 FT報道
【パリ=北松円香、北京=田島如生】英フィナンシャル・タイムズ(FT)は5日、フランスのマクロン大統領が北大西洋条約機構(NATO)の東京連絡事務所開設に反対したと伝えた。事務所開設に関するNATO内の数カ月の議論はフランスの抵抗で複雑なものになったという。中国との関係悪化を懸念したとみられる。
NATOと日本は2024年中に東京に連絡事務所を設置する方向で調整を進めている。アジア太平洋地域の国々と連携を深め、中国への対応を協議する足がかりとなる。
フランスのセトン駐日大使は日本経済新聞の取材に「NATOの東京事務所開設には賛同しかねる」と述べた。インド太平洋地域はNATOの管轄外だと指摘したうえで「中国や(米中)どちらかに肩入れしたくないアジアのパートナー国に間違ったメッセージを送らないようにすべきだ」と話した。
マクロン氏はロシアのウクライナ侵攻をやめさせるため、中国が果たす役割に期待すると繰り返し強調してきた。工業品から農産物まで、幅広い分野での対中国輸出の拡大も望んでいる。
NATOの東京事務所開設反対の背景には、中国との関係が悪化すれば外交・貿易の両面でフランスが不利益を被るとの懸念があるとみられる。
日本の林芳正外相は6日の記者会見で「NATO内で種々の検討が進められている。予断をもって答えることは差し控えたい」と発言した。
中国外務省は6日、NATOの東京事務所開設に改めて反対した。汪文斌副報道局長が記者会見で「アジアは北大西洋の地理的範囲になく、いわゆるアジア版NATOは不要だ」と述べた。日本に対し「地域の平和と安定を損なうようなことはすべきでない」と呼びかけた。
マクロン氏は4月上旬に中国を訪問した際、台湾情勢に関して「欧州は米中の追随を避けるべきだ」との趣旨の発言をして米欧の他の国々の反発を招いたこともある。
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