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中国の米国債保有、12年ぶり1兆ドル割れ 金融も分断

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【北京=川手伊織、ニューヨーク=斉藤雄太】中国が保有する米国債が12年ぶりに1兆ドル(約138兆円)を割り込んだ。米中貿易戦争が強まった2018年から徐々に減らしてきたが、ロシアへの経済制裁で米国が外貨準備を凍結したことが影響しているとの見方もある。かつては中国が経常黒字でため込んだマネーが米国債に流れ込んだが、金融分野での米中分断が進めば市場を不安定にする要因にもなりうる。

中国の米国債保有額は世界最大だったが、19年6月に日本に逆転され現在は2位。貿易戦争で半導体などハイテク分野で進んできた米中対立が金融分野にも広がりつつある。

米財務省が18日発表した国際資本統計によると、中国の5月末の保有額は前月比226億ドル減の9807億ドルだった。6カ月連続で前月を下回り、この間に1000億ドル(9%)減らした。

中国が長期的に保有額を減らした背景には、政治的対立がある。米国に覇権争いを挑むなか、ドルへの依存を下げようとしてきた。直近では米国の対ロ制裁も影響しているとの見方がある。米国はロシアの外貨準備を凍結するなど、ドルの利用を封じる措置を取った。

中国人民銀行(中央銀行)や中国財政省は4月22日、国内外の銀行幹部を集めた。台湾有事などで米国主導の制裁を受けた際に海外資産をどう守るべきかを議論した。

関係者によると、政府からの出席者がドル建てに偏った海外資産を円建てやユーロ建てに分散する可能性に言及した。中国の外貨準備は16年時点で6割をドル建てで運用していた。19年9月から金の保有量は変わっていないため、米国債を減らした分を円建てやユーロ建て資産に切り替えている可能性がある。

インフレによる米金利の先高観が強まったことも最近の米国債離れを加速させる。米連邦準備理事会(FRB)は3月に始めた利上げのピッチを上げ、6月には米国債の保有を減らす量的引き締めも始めた。

金利の急上昇に伴う損失を警戒する海外勢が米国債を売った。海外全体や日本の保有額も3カ月連続で減少した。大和証券の谷栄一郎チーフストラテジストは「魅力的な金利水準になり、米ドルを保有する国内勢が積極的に買っているようだ」と指摘する。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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