米民主、トランプ氏の弾劾案提出 罷免拒めば週内採決

【ワシントン=中村亮】米民主党は11日、トランプ大統領の罷免をペンス副大統領に求める決議案を下院に提出した。ペンス氏が応じなければ、同日に提出したトランプ氏の弾劾決議案を週内に採決する構えだ。トランプ氏が連邦議会占拠事件を扇動したと断じ、責任を追及する。
民主党は11日、トランプ氏の罷免を求める決議案と、弾劾決議案の2つを下院に提出した。1つ目はペンス氏に対して合衆国憲法修正25条を発動してトランプ氏を罷免するよう求める内容だ。民主党のホイヤー院内総務は11日、決議案について全議員の賛同を求めたが共和党から異議が出た。これを受けて民主党は決議案を12日の本会議で採決する予定で、可決後24時間以内にトランプ氏を罷免するようペンス氏に迫る。
民主党はペンス氏による罷免が実現しなければ本会議で弾劾決議案の採決に入る。米メディアによると、ホイヤー氏は11日、記者団に対して13日にも採決を行う考えを示した。政治サイトのポリティコは、民主党が決議案可決に必要な過半数の賛成票を確保したと報じた。可決すればトランプ氏は2019年12月に続いて2回目の弾劾訴追となる。
民主党がまとめた弾劾決議案は弾劾の根拠にトランプ氏の支持者による議会占拠事件を踏まえ「反乱の扇動」をあげた。具体的にはトランプ氏が事件直前に開いた集会で支持者に対し「大統領選に勝利した」と誤った主張をしたり、「猛烈に闘わないと国がなくなってしまう」と訴えたりしたことが事件につながったと指摘した。
決議案は修正憲法14条3項が「(米国に対する)反乱や謀反に関わった人物が公職に就くことを禁じる」と明記していると指摘。トランプ氏の言動は憲法が弾劾対象としている「反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪」に相当すると結論づけた。「トランプ氏は大統領職にとどまれば安全保障や民主主義、合衆国憲法への脅威であることを証明した」とも指摘した。
決議案はトランプ氏が南部ジョージアの州務長官に電話し、大統領選をめぐり同州での敗北を覆すために必要な票を見つけるよう圧力をかけたことも問題視した。「20年の大統領選の結果認証を覆して妨害する試み」と批判した。
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