[社説]東海道新幹線ストップの教訓
日本の大動脈である東海道新幹線が22日、浜松―名古屋間で終日にわたり運休した。東名間や東阪間の移動に支障をきたし、25万人が影響を受けた。暑さが厳しい中で東京駅などは多くの人でごった返し、事情が分からず途方に暮れる外国人の姿も見られた。
JR東海には原因究明と再発防止の徹底、さらにより的確な乗客への案内を求めたい。
運休の原因は、愛知県蒲郡市の線路上で未明に起きた保守用車同士の衝突事故だ。何らかの理由で片方の車両のブレーキがきかず、止まっていたもうひとつの車両にぶつかった。その衝撃が思った以上に激しく、壊れた車両を線路上から撤去するのに手間取り、終日の運行休止となった。
まず必要なのは事故の原因解明だ。JR東海によると、運転士はよそ見などはしておらず手動でブレーキを操作した。衛星測位による自動ブレーキシステムも作動したという。
それでも衝突を回避できなかったのは、ブレーキそのものの不具合に起因する可能性が高い。他の車両の点検を急ぐとともに、当該車両のブレーキの何が問題だったのかを一刻も早く突き止めることが再発防止に不可欠である。
乗客への案内でも課題を残した。朝の段階では復旧の見込みを昼過ぎ以降とアナウンスし、多くの人に午後になれば運行が再開されるという期待を抱かせた。
その後も復旧の見通しは何度も後ろにずれ込み、混乱した人も多いだろう。日本語の分からない外国人向けの案内が十分だったのかを含めて、検証が必要だ。
ANAホールディングスが羽田―伊丹便を増便するなど他の輸送機関が臨機応変の対応をしたのは評価できるが、航空機やバスの輸送力には限界がある。
地震や津波などの天災に備える意味でも、東海道新幹線の代替ルートを確保するためにリニア中央新幹線の早期の開通が欠かせない。そのことがあらわになった1日でもあった。