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[社説]水田の温暖化ガスを減らそう

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農業で温暖化ガスの排出削減への取り組みが一歩前進した。水田でメタンの発生を抑える手法が、温暖化ガスの削減や吸収量を取引するための国の認証制度「J―クレジット」の対象になった。

日本で排出されるメタンの約8割を農業が占めている。その半分は稲作による排出だ。メタンは二酸化炭素(CO2)よりも温室効果が大きく、いかに減らすかが環境に調和した農業を実現するうえで課題になっていた。

水田のメタンは土の中の有機物などから、メタン生成菌の働きで発生する。穂が出る前にいったん水を抜く「中干し」という工程の日数を増やせば、発生を抑えることができる。一般的に行われているこの栽培方法が、J―クレジットの対象に加わった。

J―クレジットは排出削減量を国が認証し、取引を可能にする制度だ。利用したい農家は、中干しの日数を通常の2倍程度に増やす必要がある。所定の審査を経て、クレジットを販売する。

農業では大気中の二酸化炭素を地中に貯留する効果のある「バイオ炭」の活用などもJ―クレジットの対象になっている。ただ栽培方法を変える必要などがあり、ほとんど利用されていない。

これに対し、水田の排出削減はいまのやり方の延長で実施できる利点がある。収量が減るリスクがあるため、国や自治体は地域ごとに手法の確立を後押しし、普及を促すことが求められる。

コメはアジアをはじめとする各地域の主要な食料だ。メタンの排出削減と収量や品質の向上を両立させる方法を確立すれば、各地の稲作にとって恩恵が大きい。その役割を日本が果たし、広めることが期待されている。

一方、農業関連では牛の「げっぷ」もメタンの発生要因になっている。国や民間が飼料の中身を変える方法などを模索しているが、J―クレジットの対象にはなっていない。温暖化ガスの排出抑制を着実に進めるため、研究に一段と力を入れてほしい。

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