「4時間待っても誰も来ない」 みずほATM障害で混乱
みずほ銀行で28日に起きたシステム障害は、ATMに挿入したキャッシュカードや預金通帳が出てこなくなり、預金者の間に不安と困惑が広がった。被害は全国の店舗内ATMの過半数に及んだ。同行は過去にも大規模なシステム障害を起こしており、金融という重要な社会インフラの担い手として厳しい視線が注がれている。
「あなた、みずほの人ですか。4時間以上待たされているのに誰も来ない」。さいたま市内の店舗を訪れた女性は語気を強めて記者に迫ってきた。みずほ銀によると、28日午前に利用客からATMを使えないとの連絡が相次ぎ寄せられた。操作中のATMから通帳やキャッシュカードを取り出せず、店内で足止めを余儀なくされた利用客も少なくない。
利用できなくなったATMの画面には「お取り扱いができなくなりました」との表示が流れ続け、都内では利用客が入店できないようにした店舗もあった。都内のある店舗では、ATMに張られた利用停止の張り紙に「通帳がのみ込まれました。連絡ください」と名前と携帯電話の番号を書き入れた人や警察官を呼んだ利用者もいた。
一方、コンビニエンスストアなどに備え付けのATMでは障害が確認されていないとして、現金の引き出しを急ぐ場合にはセブン銀行やイオン銀行、ローソン銀行などの利用を呼びかけている。コンビニATMの利用にかかった手数料は後日、返金するとしている。
みずほ銀行はホームページで「ご迷惑やご不便をおかけし、深くおわび申し上げます」と謝罪した。ATMからキャッシュカードや通帳を取り出せなくなった場合、本人へ連絡したうえで後日に返却するという。28日夜の段階で説明の記者会見は開いていない。
金融機関は一般的に週末を使って小規模なシステム改修や設定の変更などを実施している。今回は定期預金のデータ更新に伴う不具合というが、ATMからカードや通帳が戻ってこないトラブルとの因果関係はなお不明で、金融庁は詳しい原因の報告を求めている。
みずほ銀にとってシステム障害は鬼門だ。2002年4月の発足時と11年3月の東日本大震災の直後にシステム障害を起こした。とくに東日本大震災のときは被災者への義援金の振り込みが原因となり厳しい批判を招いた。当時はコンビニATMでも預金をおろせず、不都合が生じた預金者も多数出た。