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NISAなのに課税? 「配当金」は受け取り方式に注意

知っ得・お金のトリセツ(132)

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「憧れの配当生活」「今こそ配当株投資」――。来年始まる新NISA(少額投資非課税制度)を機に「配当金」が改めて注目を集めている。株式投資のリターンは売買益と配当収入に大別できるが、どちらもNISA口座での取引なら、通常なら差し引かれる20.315%の税金がかからない。

NISAを機に注目される配当収入

夢があって派手なのは値上がり益だが、結果は株価次第で予測は困難だ。一方の配当は会社が業績予想に基づき、半ば公約的に発表するもの。地味だが堅実で比較的あてにできる存在だ。

持っている限り毎年チャリンチャリンと現金収入が得られる。はやりの「ほったらかし投資」向きだが、「ある設定」を間違えたままほったらかすと「NISAにもかかわらずずっと課税されていた」なんて悲劇が起きかねない。一度しっかり確認しておこう。

配当金の受け取り方法は4つもある

問題は配当金の受け取り方法の設定だ。証券口座を開く際、どれを選ぶか聞かれるがなんと4つもあるのだ。

①配当金領収証方式
②登録配当金受領口座方式
③個別銘柄指定方式
④株式数比例配分方式

いずれも何度読んでも頭に残らないネーミングな上、証券会社ごとに微妙に呼び方も違うので覚えにくい。ざっくり理解すると、証券口座に入れるか(④)、銀行口座に入れるか(②、③)、現金で受け取るか(①)の違いだ。銀行口座はまとめて1つか(②)、銘柄ごとに口座を変えるか(③)で分かれる。

NISAの場合「株式数比例配分方式」を選ぶ

このうちNISA口座で配当の非課税メリットを享受できるのは④の株式数比例配分方式だけだ。他の方式を選ぶと自分では非課税のつもりでも20.315%の税金が引かれての入金になってしまう。

これからNISAを始めるために証券口座を開設する人は悩まず株式数比例配分方式を選び、証券口座で受け取ると覚えておけばいい。問題はむしろベテラン投資家かもしれない。

なぜなら昔からのなじみの方法は①配当金領収証方式。ゆうちょ銀行や郵便局で領収証と引き換えに配当金を現金でもらうやり方だ。後に③が始まり、株券の電子化とともに2009年以降、②、④が可能になった。

あとで選んだ方式に「上書き」

ベテラン投資家の場合、「配当は領収証を持っていって現金でもらうもの」という認識の人もいるかもしれない。それでもNISAで配当金非課税メリットを享受したければ、株式数比例配分方式を選ぶ必要がある。

厄介なのは、配当金の受け取り方法はどれか一つしか選べず、しかも最後に選んだものが全ての口座で適用されることになる。いわば上書きだ。

これまで課税口座で①や②、③を選んでいた人がNISA口座開設時に④を選ぶと、すべての課税口座での配当受け取り方法も自動的に変わってしまう。「証券会社に『なぜ入金先が証券口座に変わったんだ』と顧客からの苦情が寄せられるケースもある」(日本証券業協会)

「デフォルト」は領収証方式

さらに厄介なのは、もし選ばなかった場合、自動的に振り当てられる「デフォルト」の受け取り方は配当金領収証方式であることだ。NISA口座開設時に自ら確実に株式数比例配分方式を選んでいないと、自動的に領収証方式に振り分けられて課税されている可能性はある。

証券保管振替機構によると、個人投資家を中心とする残高のある証券口座は日本に約2898万口座。うち株式数比例配分方式は約1681万口座だが、NISA口座(一般、つみたて)は6月末時点で1941万口座まで増えている。NISAとは関係なく株式数比例配分方式を選んでいる人がいることを考えると「NISAなのに配当の非課税メリットがある口座を選んでいない人」は少なくとも300万人以上はいる計算になる。

変更は可能 まずは確認

あくまで株式投資の配当に関する話で、売買益についてはNISAならどの受け取り方式でも非課税になるし、投資信託の分配金は無関係だ。

一度選んだ受け取り方式を変更することも可能。対面証券なら丁寧に説明してくれるはずだし、ネット証券の場合はマイページにログインして口座管理画面の自分の情報を変更する項目を操作すればいい。配当の権利確定日前に余裕を持って、一度確認しておくと安心だ。

山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年からマネー・エディター、23年から編集委員兼マネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。
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