あなたの「心のベアリング」は何ですか?
読者の提案と社長の講評 日本精工・市井明俊社長編(9月24日)
市井社長の提示した「あなたの『心のベアリング』は何ですか?」という課題に対し、多数の投稿をいただきました。紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部を紹介します。
■訪問看護師の母の背中
木村 遼太朗(開智望中等教育学校 高校2年、16歳)
私の「心のベアリング」は、母親の仕事に対する姿勢である。訪問看護師である母は、電話がかかってくるといかなる時間帯でも患者の家に迅速に出向き、真摯に看護をしている。母の姿勢は看護師の理想像を体現したものといえ、常々感銘を受けている。
私には医師になるという夢がある。そのためには相応の勉強が必要だと考えている。受験勉強でくじけそうな時、時間にとらわれずに患者のもとに駆けつける母の姿を思い出す。多くの人を救いたいという思いを糧に、勉強に励むことができる。母の献身的な姿を見習い、困難な状況でも前向きに努力を続けることで自分の目標を実現し、医師として多くの人々を助けられるようになりたい。
この心の「ベアリング」が、私の進む道を支え、未来に向けた強い意志と情熱を育んでくれる。母の姿勢が私の指針となり、どんな困難にも立ち向かえるモチベーションになっている。将来、医師になれたら、母親と一緒に患者のもとにいち早く駆けつけたい。
■孫との会話
市川 明義(公務員、71歳)
私の「心のベアリング」、それは1カ月に2回ほど週末に泊まりに来る5歳の孫との会話だ。
8月に、これまでとは全く異なる分野の業務で採用された仕事は、何もかも初めての経験だ。今年72歳になる身には思った以上に厳しく、仕事の習熟にはまだ時間がかかりそうで、まさに悪戦苦闘の毎日! そんな中、訪ねてくる孫との会話を楽しみにしている。
先日も小さいテーブルを2つ並べて一緒に食べた朝食時、「律ちゃん、幼稚園ではどんなことをしてるの?」「あのね、お歌を歌ったり、お昼寝したりしてるよ」。孫からは「じいちゃんは大きくなったら何になるの?」(もう十分に大きいけど)、「律ちゃんが好きなバスか電車の運転手になるよ。運転手になったら律ちゃんを乗せてあげるよ」「うん、わかった。絶対に乗せてね」。
来るたびに成長が感じられる孫から元気をもらい、「よし、自分も一日も早く職場の戦力となる」との思いで翌日からの仕事を頑張る。これが心のベアリングだ。
■昨日の自分を超える
斉藤 美緒(関東学院六浦高校1年、16歳)
「昨日の自分を超える」。元メジャーリーガー、イチローさんの言葉は、私の座右の銘であり、心のベアリングだ。他人との比較にとらわれていた時期、この言葉と出合い、初めて自分自身に焦点を当てることの大切さを知った気がする。定期試験やプレゼンテーションでも、勝利を目的に他者と競うばかりで、目標に対する達成感を得られずにいた。そんな時、「大事なことは、他者と比較することではなく、今日の自分が昨日の自分より成長できていることである」と教えてくれた言葉だった。
この教えを心に刻んでからは、結果だけでなく、自分の努力のプロセス自体にも喜びを見いだせるようになった。そして、この変化は、学業や人間関係、さらには自己成長にもポジティブな影響を与えてくれた。日々の積み重ねが、未来を形づくる。その信念が、私を支え続けてくれている。
これから先、年齢を重ね多くの人と関わる中でも、「昨日の自分を超える」という言葉は困難に直面したときの道標であり、前進させるための灯台となるだろう。
【以上が紙面掲載のアイデア】
■お天道様に認められる
小倉 明男(自営業、66歳)
私は4年前に個人事業を立ち上げた。現役当時は、これでもかこれでもかと降り注ぐ摩擦と抵抗の日々だった。仲間とは意見が合わず、顧客にも迷惑をかけ、何もかもがうまくいかないことの連続だった。個人事業を立ち上げるにあたり考えたのは、見せかけの善をやめ「お天道様に認められる行いをしよう」ということ。損得や成功、失敗とは関係なく「お天道様が認めること」が基準だ。
まず始めたのは、人のことを知ること。とにかく聴く。自分の価値基準ではなく、相手の枠組みで聴くように心がけた。そして、その人の良いところを見つけて、一緒に考え行動する。それまで、いかに自分本位で、それが原因となり、摩擦や抵抗を生んできたかがよく分かった。
今は仕事が実に楽しい。顧客や仲間も、今までにない笑顔を与えてくれる。一切の摩擦や抵抗がなく、そこでは心のベアリングが快適に回り続けている。自分の我を捨て、人と共に生きることが、いかに素晴らしいことかを、改めて実感させられている。
■先人の知恵を学ぶ
白石田 絵里子(自営業、42歳)
「先人の知恵」を読んだり聞いたり見たりすることが好きだ。仕事で悩んでいても、以前読んだ歴史上の人物の考えを思い出したり、休日に美術館、博物館、記念館や城に出向いて作品を見学して物事の始まりの歴史をひもとき、つじつまを合わせていく作業をしたりすると、悩みの解読がだいぶ楽になる。そして、何より楽しく達成感が味わえる。
先人たちはすごい。様々な面で足りない時代に、試行錯誤し歴史を創ってきた。現代は人工知能(AI)が発達し効率的に調べたり、つくったり出来る。簡単に検索できて分かったつもりになれるので、その時は頭の中の整理が出来たような気がする。非常にもったいないと思う。我々は人間である。AIは学習こそ出来ても、人間のようにプライベートな時間を利用し、五感を働かせてストレスを発散し、脳を刺激することは出来ない。能動的に考えて調べ、先人の知恵をAIの様に学習する。そんな生き方が私の心のベアリングだ。
■朝のコーヒー
細谷 桃花(会社員、36歳)
32歳で運送会社の管理職に就いたとき、四十数人の部下は1人を除いて全員年上だった。現場経験の少ない女性をそのポジションに据えることは会社としてもあまり前例のない挑戦的な人事であり、自身のキャリアアップを望んでいたものの、期待よりも不安が上回っていた。
日々の業務が始まると実務経験の乏しさや管理能力の低さ、自身の人間的な器の小ささを感じることが多く、悩み、後悔することも少なくなかった。そんな中で心の支えになったのは、1杯のコーヒーだった。
毎朝一人ひとりにコーヒーをふるまってくれる社員がおり、彼女が入れる1杯は、これから始まる多忙な時間への準備や覚悟を決める大切な時間となっていた。社員たちで毎月わずかな心付けを渡していたものの、彼女が丁寧にマグカップに注いで手渡してくれる温かいコーヒーと、何気ない、でも思いやりにあふれた一言はかけがえのない贈り物だった。優しさと思いやりを形にして渡せる彼女のような方は会社の宝であり、私の心のベアリングだ。
■それぞれの役割を果たす
藤野 健太郎(会社員、47歳)
ベアリングの構造を改めて考えてみた。内外輪の間に複数の金属製のボールなどが挟まれている。ボールがぶつかり合うことのないように間隔を保つ役割を果たすのが保持器というパーツだ。これらが組み合わさってベアリングとなり、全体として回り始める。
ベアリングのボールはそれぞれ独立に役割を果たし、その場にとどまることなく回転し続ける。しかも、誰かが速い、誰かが遅いということはなく、全員が同じペースで回り続けることで全体として機能する。
私には良い企業や組織の縮図のように思えた。大きさによって必要なボールの数が異なったり、成長に応じて速度が変わったりするのも企業・組織と同じだ。
私は、勤務する企業で管理職の立場にある。一緒に働く同僚や部下の数だけボールがあると考えると、部下それぞれが自らの役割を全うしながらも全員が同じ方向に向かうように導き、全員で前に進めるように組織を回す。それが私の心のベアリングなのかと思う。
■挑戦し続ける意志
伊藤 耀一(中央大学経済学部2年、19歳)
私にとって「心のベアリング」とは、何事にも前向きに挑戦し続ける意志だ。日々挑戦し続けるからこそ初めて理解できる学びに、視野を広げられる喜びを体感できるからである。私はゼミ活動を通して、挑戦することの重要性を学んだ。人生で初めてリーダーとしてチームをまとめる立場についた際、日々メンバーの意見や心情をくみ取りながら指揮を執ることの難しさを痛感した。しかし、その経験によって周囲を俯瞰(ふかん)的に捉えるノウハウが身についたと考えている。
このように挑戦しなければ分からなかったこと、見えてきたことがある。そして、挑戦して得られた経験をもとに「次はこうしよう」と試行錯誤を繰り返してみる。このような挑戦を一歩一歩誠実にこなしていくことによって、日々の成長を実感していく。そこに人間にしか味わえない喜びを見いだしていると思う。どんなことでもポジティブにトライすることに心を燃やし続ける原動力こそ、私の「心のベアリング」だ。
■「逃げ道」
篠山 輝(開智望中等教育学校 高校2年、16歳)
私にとって「心のベアリング」とは「逃げ道」だと考える。ここでいう逃げ道とは相談相手や友人、趣味のことを指す。なぜかというと、日々の生活は外からの刺激を受けて過ごすが、刺激が自分の内側に悪影響を及ぼしてしまうこともしばしばある。そうした負の刺激をやわらげるための逃げ道が、ベアリングの構造に類似していると考えたからだ。
私は今、高校2年で受験期と呼ばれる時期に突入している。予備校に行きたくなかったり、周りとの競争に嫌気が差したりする時間も度々訪れる。なかでも模試の自己採点は最も気持ちを落ち込ませる代表例である。自分の解答を採点するだけでもうんざりするのに、結果によっては志望校との距離が遠のいてしまうのだ。そんなときには休憩を挟んだり、友人と会話をしたりして一息つくことにしている。休憩している時間は学力を停滞させる面もあるかもしれない。だが、休んだあとの学習は集中力が上がるように感じられ、逃げ道の効果を実感できる。
■好奇心のループ
木村 寛(会社員、59歳)
私は、よく見えないうす暗い場所がどうなっているのか、ついつい知りたくなって首を突っ込んでしまう性分だ。明かりをともして暗がりが見えるようになっても、そこで終わらない。その先のさらに薄暗い場所が気になり、引き寄せられてしまう。
自分でスイッチを入れるわけではなく、私の中のどこかで「見たい」「知りたい」「解決したい」という思いが勝手に転がり出す。言ってみれば、好奇心が無限にループするのだ。
仕事でも対人関係でも、自己研さんでも同じ。「なぜ、この業務は効率が上がらないんだろう」「なぜ、この人は怒っているんだろう」「この視点はどこから生まれたのだろう」といった具合だ。ひとつ見えて1段上がっても、その位置にたどり着いたことで新たに気付く「なぜ?」が気になってしまう。
おそらく私は、根っからの「知りたがり」なのだろう。だが、次から次に「なぜ?」が連鎖する好奇心の無限ループこそが、私の心のベアリングだ。
■「ありがとう」の言葉
若林 千佳(開智望中等教育学校 高校2年、16歳)
ありがとう。この言葉が私の心のベアリングだ。日々のコミュニケーションの中で感謝を伝えたり感謝されたりすることはとりわけ、私に幸せな気持ちをもたらしてくれる。
中学生だったある夏の日、自分の家がわからなくなってしまった高齢の方に声をかけられ、ご自宅まで送り届けたことがある。面識のない方だったが、スーパーの袋いっぱいに野菜を詰め、猛暑の中でどうすることもできずにうろたえているのを無視できなかった。
おぼろげな記憶の中で思い出した表札とお庭の花の情報を頼りに歩き続け、ご自宅に着いたころには2時間がたっていた。
道中、どんな話をしていたかは思い出せない。だが、最後に「本当にありがとう」と言われたことだけは覚えている。それ以来、困っている人を見ると、あの夏の記憶が私の背中を押してくれる。
たった5文字、されど5文字。「ありがとう」で満たされた社会は、もう少し優しくなれるかもしれない。
■猫との穏やかな時間
歐陽 健朗(関東学院六浦高校1年、18歳)
私にとって、「心のベアリング」は飼い猫との時間だ。私が落ち込んでいる時も、最初に思い出すのが飼い猫との思い出。私は留学生なので、飼い猫と会う機会は長い休みの期間だけだ。だから私は自分のスマホで飼い猫の写真をたくさん撮っていて、つらい時やさびしい時はいつも写真を見ている。
飼い猫との時間は穏やかで、飼い猫が言葉を発することができないゆえに、弱音を吐くことができるし、何もなく、ただ飼い猫をなでている時も私にとっては幸せな時間だ。悩み事がない時も、飼い猫と一緒にいるだけで、心が穏やかになるし、気持ちも落ち着く。人には言えないことも、飼い猫と一緒にいると、全部言えるようになる。
私自身も不思議ではあるけれど、その空間はとても心地よくて、心の奥で癒やしを得ることができた。飼い猫の存在は私にとってとても重要で、ずっと私の心を支え続けてきた存在だ。この子がいるから、私はこれからも頑張れる気がする。
■子どもたちの姿
倉島 研(心理カウンセラー、48歳)
子どもたちの姿を見ることが、私の心のベアリングだ。子どもたちはたいがい自分の気持ちに素直で、楽しそうにしている姿には嘘がない。それをとても美しいと思うのだ。
社会は不合理なことであふれている。近年よく話題になる「持てるものと持たざるもの」「人生ガチャ」はその極みだろう。運命で捉えなくとも、社会的立場や属性によって対応を変える人と出会うことは多い。所属する社会の底辺側にいれば、より多くのストレスを受ける。
それが続くと、心理の専門家である私でも外部からの摩擦に耐えられなくなる。自分自身の中にも自らの価値を否定しようとする部分が表れ、心の中で摩擦が起こっていることに気がつくのだ。心理学を知っていても自分の心をマネジメントするのは難しい。
それなのに、子どもたちの姿を見ていると自然と心が和み、滑らかになる。心の中の摩擦が無くなり、外部との摩擦を減らすことに集中できるようになる。
■母の魔法の言葉
廣田 心(関東学院六浦高校2年、17歳)
「どんなこともすべて良い方向に向かうために起きている」。私の心のベアリングは母が教えてくれたそんな魔法の言葉だ。私は何度もこの言葉に救われてきた。例えば、部活の大会に向けてとても努力していたけれど、試合の前日にケガをしてしまったことがある。この言葉を教えてもらう前の私なら、ケガをしたことに落ち込み、今まで積み上げてきたパワーを全て失ったと思う。しかし、この言葉を思い出すとまるで魔法にかけられたように気持ちが自然と前を向いた。
練習してきた成果を出せずに悔しい気持ちはあっても、その代わり一緒に切磋琢磨(せっさたくま)してきたチームメートのサポートをする新たな役割を見つけることができる。そんなポジティブな思考ができるように変わっていった。スポーツの例を挙げたが、身近に起こるマイナスな気持ちになってしまうような出来事もすべて、この言葉によって明るい絵を描いて生活することができる。
■周りのハッピーを考える
山田 智也(不動産業、44歳)
一歩前に踏み込むとき「よし、いこう!」と私の心のベアリングが動く。人間関係や仕事のさまざまな場面で、相手との距離を縮めて、お互いを知る必要があるとき、また、業務上の課題を解決するために事前調査や関係各所との調整をするときに、ぐるぐると色々な考えが脳裏をよぎる。
私にとっての心のベアリングは、自分の直感を信じて行動に移すことだ。あるときは余計な摩擦を和らげようと、ゆっくりと滑らかに回り、またあるときはスピードを緩めることなく、さらに加速することもある。本来やるべきことがあるのに、利害や関係者の意見の相違などが邪魔をして、なかなか前へ進まないときに、どうやったらスムーズにものごとが運ぶかを必死になって考える。
そんなときこそ、自分の損得勘定を抜きにして、相手や自分以外の周りのハッピーを優先しようではないか。そうすると、自然と解決に向かって進むことがあるから不思議だ。その経験が自分を磨き、次に進むためのエネルギーを与えてくれる。
■なりたくない自分
上村 紗弥加(産業能率大学経営学部3年、21歳)
私の心のベアリングは、私の中にある「なりたくない自分の像」である。私は、大学1年生のころから現在も飲食店のキッチンでアルバイトをしている。大学2年生のころ、新たに任された仕事が難しく大きな挫折を経験した。そのとき私は、アルバイトを辞めたいと思った。家族や友人からも「アルバイトは他にもあるから、無理に続ける必要はない」との励ましの言葉をもらった。
ここで私がアルバイトを辞めたとしても責める人はいなかっただろう。しかし、そのときの私の中に「一度の失敗で逃げるような自分は嫌だ」という「なりたくない自分の像」がはっきりとあった。
このベアリングによって私は、アルバイトで新たに任された仕事にもう一度挑戦する勇気をもらった。この一歩を踏み出せたことで今では、その仕事が楽しいと感じられるようになるまで成長することができた。私は、私の中にある「なりたくない自分の像」と向き合うことができれば、困難にも立ち向かえる。
日本精工・市井明俊社長の講評
幅広い年齢層の方々から、多くのご投稿をいただきました。皆さんの心のベアリングは心温まる、共感できるものばかりでした。
「訪問看護師の母の背中」は一読して応援したくなる、温かい投稿です。医師を目指す16歳の高校生にとって、患者さんに献身的に接するお母様の姿が、人生の指針になっています。女性活躍の時代となり、働くお母さんが増えています。子供は親の背中を見て育つと言いますが、子供に見せる背中もまた多様化している。そんな時代の流れを感じさせる投稿でした。医師になり、お母様と一緒に患者さんのために働くという夢を、ぜひ実現してください。
「孫との会話」は「じいちゃんは大きくなったら何になるの?」という、お孫さんの無邪気なひと言がいい。子供の何気ない言葉に、はっとしたり、勇気や希望をもらったりすることは、よくあります。投稿者は71歳の方で、新しいお仕事に挑戦されています。人生100年時代、元気に働くシニアはますます増えるでしょう。お孫さんとの何気ない会話が心のベアリングになり、前向きに生きる力になる。シニア世代が堂々と将来の夢を語る。素晴らしいことだと思います。
「昨日の自分を超える」は言葉の持つ力を再認識させる投稿でした。元メジャーリーガー、イチローさんの言葉ですが、これを座右の銘にしているのが16歳の高校生と知り、驚きました。定期試験など日々のハードルを乗り越える時、この言葉が心のベアリングになり、結果だけでなく過程にも喜びを見いだせるようになった。すてきですね。
言葉の持つ力は電子化の時代、紙離れの時代になっても変わりません。私自身の座右の銘は「大丈夫だ。心配するな。なんとかなる」。一休さんの言葉です。
心のベアリングは人を動かす、心のエネルギーです。機械を動かすことはできなくても、人を動かすことはできます。心のベアリングが生み出すパワーは、人生を切り開く原動力になるでしょう。
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新聞記者という仕事柄、言葉の持つ力についてよく考える。今回の投稿の中で、「どんなこともすべて良い方向に向かうために起きている」という母親の言葉が心のベアリングになっているという、17歳の高校生の声に心動かされた。
私自身、母親に「神様は無駄なことはなさらない」と聞かされ育った。人生は思い通りにならないことが多い。挫折した時、中島みゆきさんのヒット曲「時代」を口ずさみ、母親の言葉を思い出した。それが心のベアリングだった。(編集委員 鈴木亮)