富士山登山鉄道構想「LRTは実現可能」 山梨県が中間報告
山梨県は28日、富士山登山鉄道構想の事業化検討の中間報告を発表し、次世代路面電車(LRT)を5合目まで運行するのは技術的に可能との調査結果を示した。同構想を巡っては地元自治体などの反対の声が強く、長崎幸太郎知事は反対派との意見交換の場を設けて相互理解を深めていきたいと語った。
同構想は有料道路「富士スバルライン」をLRT路線に転換して富士山の来訪者数を管理するとともに、冬季もアクセスできるようにして通年型観光地への転換を目指すもの。最大88パーミル(1000メートル進むと88メートル上る)の急勾配や急カーブ、冬季の厳しい環境での運行が可能かを専門家を交えて検討していた。
急勾配は降雨時に車輪空転の恐れがあるものの、砂などの滑り止めの散布で走行は可能とした。急カーブも脱線防止ガードの設置や低速運転で対応できるとしている。車両はバッテリーなどを搭載するため低床型ではなく、箱根登山鉄道のような普通型車両が有利としている。
輸送力は複線を定員120人乗りの列車が6分間隔で10時間運転すると仮定し、1日あたり1万2000人(片道)としている。悪天候などでの運休を考慮して年間280日営業したとすると、336万人の輸送量を確保できると試算している。
長崎氏は構想反対の4団体と11月13日に意見交換するほか、地元市町村の首長や富士急行に対しても意見交換を申し入れたいとの意向を示している。