佐渡金山、念願の世界遺産登録 新潟県民の笑顔輝く
国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会が27日、「佐渡島の金山」の世界文化遺産への登録を決めると、新潟市内で中継動画を見守っていた新潟県民などは金色のスティックバルーンを打ち鳴らし、笑顔の花を咲かせた。国内での推薦候補になかなかなれず、直近の諮問機関による勧告でも一部修正を求められるなど苦難もあった。地元では登録を受け、保護と活用を進める考えだ。
27日に新潟市内で開かれたパブリックビューイングには、福田勝之新潟県商工会議所連合会会頭や中原八一新潟市長、鈴木康之新潟県副知事など関係者のほか、多くの県民などが詰めかけた。午後1時30分過ぎから佐渡金山の審議が始まると、中継を映し出す大型モニターを食い入るように見つめた。
午後2時前に登録が決まると笑顔でバルーンのほか、クラッカーもならして喜びを分かち合った。決定後、福田会頭は「これからが本番で、素晴らしい遺産を次の世代に伝えていくことが我々の仕事だ」と述べた。
委員会出席のためインドに滞在中の花角英世知事は中継で「多くの人に佐渡へ来てもらい世界遺産の価値を理解してもらうとともに、新潟の素晴らしさを味わってもらいたい」と話した。
その後、会場では万歳三唱やくす玉を割って登録を祝った。会場を訪れた新潟市の男性は「登録してよかったと思える世界遺産にしてほしい」と期待を述べた。パブリックビューイングは同県佐渡市などで実施された。
県によると、佐渡金山を世界遺産にする動きは1990年代に始まった。県と佐渡市は2007年、世界遺産暫定一覧表記載資産候補提案書を国に提出。その後、しばらくは日本からの推薦候補に選定されなかったが、国は22年にユネスコへ推薦書を送った。だがユネスコ側から不備が指摘され、審議に進めなかった。
国は改めて23年1月に推薦書を送り、同年8月にユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が現地調査をした。同会議は24年6月、登録内容の一部変更を求める「情報照会」を勧告した。指摘された資産周辺の保護エリアの拡大などについて国や地元自治体などは受け入れを決めて対応を進めるなど、登録実現へ全力を挙げた。
韓国は、佐渡金山では朝鮮半島出身者の強制労働があったと主張していた。7月26日に「日本が歴史全体を反映すると約束した」などとして、登録に同意する方針を示した。