天皇陛下、79歳に 被災者に改めて気遣い
天皇陛下は23日、79歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち皇居・宮殿で記者会見。転びやすくなるなど体力低下を率直に明かす一方、公務の削減には慎重姿勢を示された。東日本大震災の被災者を改めて気遣ったほか、沖縄の負担を日本全体で分かち合う重要性も指摘された。
昨年は気管支肺炎による入退院で中止になっており、会見は2年ぶり。陛下は心臓手術に踏み切った理由を「心筋梗塞の危険を指摘されたから」と説明。3月11日の震災1周年追悼式出席を目指して2月の手術実施を決めたといい、成功を「本当にうれしく感じました」と喜ばれた。
一方、山道で転びやすくなったとも明かし「高齢のため転びやすくなるなど考えてもみませんでした」と吐露された。ただ昭和天皇は80歳を過ぎても地方訪問を続けたとして、公務は「しばらくはこのままでいきたい」と話された。
震災を巡っては、原発事故で帰れない人や仮設暮らしの被災者を気遣い、震災関連死者を「誠にいたわしい」と悼まれた。放射能やがれきの石綿の危険も指摘し、作業員の安全を願われた。
11月の沖縄訪問の感想を問われると「地上戦であれだけの人が亡くなった地域はほかになく、日本全体で沖縄の苦労を考えていくことが大事」と応じられた。
明るいニュースには山中伸弥京都大教授のノーベル賞受賞などを挙げられた。宮内庁によると、陛下は時間があればチェロや読書をされている。長年取り組む魚類研究のほか、皇居内のタヌキの生態調査もされているという。