シリア周辺国、アサド政権への非難強める
【カイロ=押野真也】シリアのアサド政権が大量の化学兵器を使用した疑いが強まっていることに関連し、中東の周辺諸国もアサド政権への非難を強めている。とりわけシリアと対立関係にあるイスラエルは米欧諸国が検討する空爆の報復攻撃などが自国に及ぶことを警戒する。一方、シリア政府は米欧の軍事介入示唆に強く反発しており、地域の緊張が高まっている。
アラブ諸国で構成するアラブ連盟は27日、本部があるカイロで緊急会合を開き、シリアが一般国民を対象に化学兵器を使用したとされることを「おぞましい犯罪だ」と非難。一連の責任はアサド政権にあると指摘し、国連安全保障理事会に早期の対応を促した。
トルコのダウトオール外相も同日、アサド政権が「人道に対する罪」を犯したと批判。国際社会はこうした行為を阻止するために一刻も早く行動すべきだと強調し、米欧による軍事介入に理解を示した。
シリアと国境を接し対立するイスラエルは、警戒感をあらわにしている。ネタニヤフ首相は同日、「(もし攻撃されれば)即座に反撃する準備はできている」と述べ、アサド政権に激しい口調で警告した。
ただ、米欧の軍事介入の動きに批判的な国もある。ヨルダン政府高官は27日、同国にある軍事基地利用を米欧に許可しないとの方針を表明した。米欧の軍事介入により自国への難民流入が増加することを懸念したものだ。エジプトも「(化学兵器使用の有無を調査中の)国連調査団の結果を待つべきだ」との姿勢を示した。
一方、シリアのムアレム外相は「(自国への)攻撃には断固として対応する」と強調、米欧を強くけん制した。軍事介入は今後数日以内に実施されるとの見方も伝わっており、関係国による神経戦は激しさを増している。