リビア反体制派拠点、国際援助団体が撤退 劣勢浮き彫り
【カイロ=押野真也】政権側と反体制派の衝突が続くリビアで16日、反体制派の拠点である東部のベンガジから国際援助団体による撤退の動きが出始めた。中・西部を制圧した政権側がベンガジへの攻撃を検討しているためで、反体制派の劣勢ぶりを浮き彫りにしている。
ベンガジで活動する赤十字国際委員会(ICRC)の担当者は16日、中東の衛星テレビ、アルジャズィーラに対し、ベンガジを離れ、エジプト国境に近いトブルクに活動の拠点を移す考えを明らかにした。政権側の攻撃が迫っており、職員の安全確保が必要との理由だ。
政権側は東部の要衝で、ベンガジ南方約150キロのアジュダビヤを奪還し、北上してベンガジへの総攻撃を仕掛ける構えだ。反体制派兵士にもエジプト国境付近に逃れる動きが出始めている。援助団体の撤退が今後も続けば、反体制派側で食料などの物資不足が深刻化する可能性がある。
ベンガジに本拠を置く反体制派組織「国民評議会」は政権側の空爆を防ぐため、リビア上空に飛行禁止区域を設定するよう国際社会に求めているが、国連安全保障理事会常任理事国の中国とロシアが慎重な姿勢を示し、実現していない。カダフィ政権側は国際社会の足並みが「反カダフィ政権」でそろう前に、反体制派の拠点制圧を急ぐ構えだ。