死者・不明1万人か、被災者967万人 フィリピン台風
【マニラ=佐竹実】フィリピン中部を襲った猛烈な台風30号の被害が拡大している。直撃を受けたレイテ島の当局者は、同島の死者・行方不明者が1万人に達する恐れがあると明らかにした。AP通信などが伝えた。台風で発生した高波に住民がのみ込まれたほか、多くの家屋や建造物が暴風雨で破壊。日本人も数人と連絡が取れていない。フィリピン政府は救助活動を本格化させている。
台風30号は、一時最大瞬間風速90メートルと強い竜巻並みの勢力で上陸。高波は数メートルの高さに達したもようだ。同島の警察当局は、台風が通過した地域の70~80%の建物が破壊されたとの見方を示した。被災者は約967万人にのぼり約62万人が避難している。
電力や通信、道路が各地で寸断されており、フィリピン政府は被害の全容をつかめないでいる。国家災害対策本部の11日の発表によると犠牲者は255人で、行方不明は38人。赤十字は1200人以上が死亡したとしている。だが、連絡が取れない地域も多いうえ、倒れた建物に取り残された人も多数いるとみられ、犠牲者がさらに増える可能性が高い。
日本大使館によると、レイテ島には約100人、隣りにあるサマール島には約20人の日本人が居住しており、11日昼時点で数人と連絡が取れていない。最大都市タクロバンにいる2人の青年海外協力隊員が音信不通となっている。
台風30号は南シナ海を抜けてベトナムに上陸。勢力を弱めながら北へ進んでいる。ベトナム国営メディアによると、同国中部を中心に約90万人が避難した。フィリピンでは2012年12月に南部ミンダナオ島を台風24号が襲い、1000人を超える犠牲者が出た。