天然ガス長期契約支持で共同宣言 輸出国首脳会議
【モスクワ=石川陽平】ロシアやカタールなど13カ国が加盟する多国間の協議機関「ガス輸出国フォーラム」は1日、モスクワで首脳会議を開き、天然ガスの長期輸出契約や石油連動の価格設定を支持するとの共同宣言を採択した。米国を中心に進む新型ガスの「シェール革命」で価格下落の圧力を受けるガス輸出国が連携を強める試みだ。
ガス輸出国フォーラムの首脳会議は2011年11月にカタールで開いて以来2回目。ベネズエラやイラン、ボリビア、赤道ギニアの大統領、リビアとイラクの首相が参加し、他の加盟国は担当相らが出席した。首脳会議は1日に全体会合が開かれ、2日は2国間の会談が行われる予定だ。
首脳会議後の記者会見で、開催国ロシアのプーチン大統領は「天然ガスの長期契約は大型のガス開発事業の資金調達で、議論の余地がない役割を果たし続けている」と指摘。「ガス開発を安定させ、公正な価格を保証するため、石油や石油製品の価格に連動させた価格設定を支持しつづける」と表明した。
フォーラムは天然ガスの輸出国が共通の利益を探るための協議機関にとどまっている。プーチン大統領は石油輸出国機構(OPEC)のように「加盟国の生産枠設定に関するテーマは取り上げられたことがない」と強調。「カルテルを形成する目的はない」と言明した。
フォーラムが政策面での協調に踏み込めない背景には、各国の思惑の違いがある。パイプラインでの輸出が主力のロシアは長期契約を重視するが、液化天然ガス(LNG)の主な輸出国ではスポット(随時契約)での販売が増えている。欧州などの消費国や米国との関係もそれぞれ異なり、加盟国の足並みは必ずしもそろってはいない。
その中でロシアは今回の共同宣言でも長期契約の重要性をはじめ自国の主張を数多く盛り込み、フォーラムを通じて国際エネルギー分野での地位向上を目指す姿勢を鮮明にした。プーチン大統領は「シェールガスの将来は不透明だ」とも述べた。