東北電、値上げ幅拡大へ 「東通」の再稼働見込めず
原子力規制委員会の有識者会合が東北電力の主張を退け、東通原子力発電所(青森県)の敷地内に「活断層がある可能性が高い」との最終判断をまとめた。東通は当面、再稼働が難しくなる。東北電は検討中の値上げ幅を拡大する公算が大きい。東日本大震災の被災地の復興にも影響しそうだ。
原発は活断層からの距離などで想定される地震の揺れを試算して設計している。原発の敷地内に活断層がみつかれば、活断層との距離が大幅に縮まるので試算をやり直さなければならない。原子炉の強度が足りないとわかれば、耐震補強工事も必要になる。
東北電は女川(宮城県)と東通に原発を持つ。女川は震災被害を受けており、しばらくは再稼働できない。東北電は来年度中に家庭向け1割、企業向け1~2割の値上げを検討中だが、これは来年度中の東通の再稼働が前提とみられる。東通が動かなければ、火力発電の燃料費が膨らんで値上げ幅が拡大する。
ただ、日本原子力発電敦賀原発(福井県)などと異なり、東通は活断層が原子炉建屋の真下を通っているわけではない。耐震補強工事で対応できる公算が大きく、すぐに廃炉につながる可能性は低い。規制委は26日、敦賀原発については来年1月以降に専門家による正式見解を文書にまとめて報告する方針を示した。
次の焦点は規制委が28、29日に予定する関西電力大飯原発(福井県)の2回目の現地調査。活断層があるとわかれば、規制委は全国で唯一稼働中の大飯の運転を止める方針だ。政府は今冬と来夏の節電対策を迫られる可能性があり、安倍政権にとって最初の難題になりそうだ。