「強い日本」で同盟強化 首相、米で演説
【ワシントン=永沢毅】訪米中の安倍晋三首相は22日昼(日本時間23日未明)、ホワイトハウスでオバマ米大統領と初の首脳会談に臨む。強固な日米同盟を確認し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に向けて詰めの協議をする。首脳会談後は米戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、「強い日本を取り戻す」として日米同盟の強化や地域の安定に取り組む考えを表明する。
首脳会談では日本のTPP交渉参加に向けた例外品目(聖域)の扱いが焦点となる。北朝鮮の核・ミサイル開発をはじめ、中国の軍備増強や海洋進出の動きへの対応などを協議する。
首相は22日夕(同23日朝)には「JapanisBack(日本は戻ってきた)」と題し、英語で講演する。日米同盟について「両国が世界により一層の法の支配や民主主義などをもたらせるよう、日本は強くあり続けないといけない」と表明する。
沖縄県の尖閣諸島を巡り強硬姿勢を崩さない中国に対しては「我が国固有の領土だ。今も未来も何であれ、挑戦を容認することはできない」と強調。一方で「日中関係は日本の最も重要な間柄の一つ。私側のドアは中国指導者のために常に開いている」と言及し、首脳間の対話による関係改善への意欲を示す。
北朝鮮に関しては「核開発に向けた野望は容認されてはならない」と非難し、米国や韓国などとの連携を重視する立場を訴える。日本人拉致事件にも触れて「すべての日本国民を解放しない限り、およそ報奨めいたものを与えるわけにはいかない」と圧力重視で臨む姿勢を明確にする。
経済政策では政権が進める金融政策、財政政策、成長戦略の「3本の矢」を説明。生産性の向上や構造改革を通じて「日本を大きな成長市場にする」と強調する。
「アジア・太平洋地域、インド・太平洋地域はますます豊かになりつつある。日本はルールの推進役として主導的な地位にあらねばならない」と述べ、貿易、投資、知的財産権、労働、環境などのルール作りに積極的に関与する考えも打ち出す。