「准保育士」導入を検討 政府、子育て経験女性を担い手に
政府は保育士不足を補うため「准保育士」制度を作る検討に入った。子育て経験のある女性が保育所で働く環境を整え、保育所に入れない待機児童を減らす。ただ、保育士団体の反発も予想され、調整は手間取りそうだ。
政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)が14日に開いた「雇用・人材」の分科会で、民間議員が提案した。政府が成長戦略を改定する6月に向けて、女性の活躍を推進する政策の提言をまとめる。
子どもを保育所に預けることができず、職場復帰を諦める女性はなお多い。今は保育所を造っても、保育士が足りない問題が深刻だ。育児経験のある主婦は数多くいるが、保育士の国家資格を得るには専門知識を学び、実技試験に合格する必要があり、主婦にとってはハードルが高い。
分科会は、国家資格の保育士より簡単な試験や研修で取得できる准保育士という民間資格の新設を提案した。専門知識のハードルを下げる一方で、主婦の子育て経験を重視する。現在でも保育士の資格を持たない人が補助として保育所で働くケースもあるという。
政府は07年に准保育士制度を検討し、導入を見送ったことがある。当時は、准保育士が広がれば、保育士全体の賃金が下がると危機感を抱いた全国保育協議会などの業界団体が反対した。
分科会は女性の就労を抑える一因とされる税制や年金などの制度見直しも求めた。妻が専業主婦の場合に夫の所得税負担が軽減される「配偶者控除」の縮小・廃止が柱。専業主婦が社会保険料の納付を免除される「第3号被保険者制度」は存続の是非を含めて見直すよう求めた。子育て中の女性が在宅でも働きやすいよう深夜労働の割増賃金といった規制を緩めるべきだとの意見も出た。