年金開始引き上げ明記へ 社会保障、現役に手厚く
国民会議
政府の社会保障制度改革国民会議は12日、最終報告書のとりまとめに向けた調整に入った。高齢者に手厚く配慮する現行の制度から転換し、現役世代の支援に軸足を移していく方針を確認した。膨らむ給付の具体的な抑制策として、公的年金を受け取ることができる年齢の将来的な引き上げを盛り込むことがほぼ固まった。
国民会議は最終報告書を8月上旬にまとめる。これを受けて政府は将来の改革のスケジュールを定める「プログラム法案」をつくり、秋の臨時国会に提出する。個別の政策はその都度法案化を目指す。まだ調整がついていない医療・介護などの分野も含め、「痛みを伴う改革」をどの程度示せるかが焦点になる。
12日は、昨年11月の初会合以降に出た指摘を事務方が整理して示した。報告書の「素案」に近い。効率化に向けた具体策は(1)年金の支給開始年齢の引き上げ(2)一部の薬の患者負担の見直し(3)全国どこでも自由に医療機関を利用できる仕組みの見直し(ゲートキーパーの導入)――を例示した。
年金の支給開始年齢は現在の65歳から引き上げる方向で議論する。改革の道筋に関しては、いずれの政策も「5~10年先を見れば議論しておく(ことが)必要」との表現にとどめており、参院選後の最終報告でどこまで強められるかが課題だ。
高齢者医療制度を支えるため、大企業の健康保険組合の負担を重くする「総報酬割」の全面導入の実施も、報告書に盛り込む可能性が高まっている。改革の基本的な理念としては、現行制度を「高齢期集中型」と位置付け、「全世代対応型」の仕組みに切り替えていくことを示す。