政府、オープンデータ活用サイトを12月20日に開設
全省庁1万のデータ群を開放する「DATA.GOV」日本版
政府は2013年12月20日、国が保有するデータを無償で入手できるポータルサイトの運用を始める。全省庁が参加し、統計や調達、防災などに関連する約1万個のデータ群が最終的に公開される見通しだ。企業や公共団体がこれらのデータを活用し、低コストかつ短期間にアプリケーションやサービスを開発できるようになる。
政府のサイト名称は「データカタログサイト」。広く開かれた利用が許可されているデータをオープンデータと呼ぶが、米国政府はオープンデータを「DATA.GOV」と呼ぶサイトで公開しており、データカタログサイトはその日本版と言える。
全省庁が保有するデータのうち、公開や二次利用などに問題がないものから提供を始める。「統計情報」「地理空間情報」「防災・減災情報」「予算・決算・調達情報」「白書など」の5分野を重点分野に定め、これらに関連するデータを優先して登録。企業や市民などが情報を検索してアクセスできるようになる。
データカタログサイトでは、各データのタイトルや作成者、内容やデータ形式、作成日などの情報で横断的に検索し、各省庁のサーバーに置かれている実際のデータを見つけ出せるようになる。
データを利用する側からは、著作権を保ったままデータを自由に流通させることができる「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」にのっとった点が注目される。入手したオープンデータを二次利用したり、加工・編集したりできるようになるからだ。ただし白書などには民間企業が権利を有するデータも含まれており、そうしたものは利用者が個別に対応する必要がある。
2015年度末までに米欧に追いつく
今回のデータカタログサイトは試行版の位置づけで、2014年度以降に本格サービスへと移行する見通し。その際には企業が自社のシステムやサービスなどから、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)と呼ぶ共通の手順でデータを取り出せるようになる見込み。
これまで日本では、経済産業省や総務省などが保有するデータを個別に公開してきた。活用が進む米国や英国に対し、2015年度末までにキャッチアップする日本政府の狙いがある。当初は2013年秋をメドにしていたが、各省庁におけるデータ公開に向けた確認の作業に手間取るなどしたため、年末までずれ込んだ経緯がある。
米国はDATA.GOVを2009年に開始。約8万のデータ群が公開されており、オープンデータを活用したビジネスが多数登場している。農業や金融、不動産、エネルギー、情報サービスなどへと裾野が広がり、収益を上げるケースも出てきている。日本にはそうしたビジネスに必須なデータサイエンティストなどデータ分析人材が不足しているという指摘もある。
(日経BPビッグデータ・プロジェクト 市嶋洋平)