韓国裁判所、仏像の日本返還認めず 対馬で盗難
昨年10月に長崎県対馬市の神社や寺から盗まれた仏像2体が韓国で回収された問題で、韓国中部の大田地裁が26日、うち一体について、韓国政府による日本への返還を当分差し止める内容の仮処分決定を出した。聯合ニュースが伝えた。
仏像をめぐっては韓国の仏教界などから「日本に不当に略奪された」として返還に反対の声が上がっていた。裁判所決定の影響で返還が遅れれば日韓間の懸案に発展する懸念が出てきた。
日本政府は文化財不法輸出入禁止条約に基づき仏像の返還を求める方針で、韓国政府や裁判所は条約履行と仮処分決定の順守義務のどちらを優先するか検討を始めたもようだ。
問題の仏像は長崎県指定の有形文化財で対馬市の観音寺から盗まれた「観世音菩薩坐像」。韓国中部、瑞山にある浮石寺が、同像は14世紀に同寺で作られたと主張。長崎で盗まれた後韓国に密輸された像を発見、保管する韓国政府による移転禁止を求める仮処分申請を同地裁に行っていた。
同地裁は、観音寺がこの像を正当に取得したことが訴訟で確定するまで、韓国政府は日本政府に引き渡してはならないと判断した。仏教界からは仏像が日本に渡った経緯の本格的な調査を求める声も出ている。(ソウル=共同)