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最高裁、科学的証拠の過信に警鐘 「事実認定ゆがめる恐れ」

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最高裁司法研修所は26日、DNA鑑定などの科学的証拠を刑事裁判でどう扱うかについての研究報告をまとめた。急速な技術進歩で科学的証拠の重要性が増す一方で、「過度の期待は事実認定をゆがめる恐れがある」と指摘。裁判員制度で一般市民が証拠を評価することになった現状を踏まえ、科学的証拠の過信に警鐘を鳴らす提言となっている。

司法研修所が裁判官向けの研究報告でDNA鑑定を扱うのは初めて。

報告書はまず、科学的証拠の利点として(1)人の記憶に基づく供述よりも客観性・確実性が高い(2)捜査段階の自白や目撃証言などへの依存を軽減できる(3)時間が経過しても証拠価値が失われない――などを列挙。適切な事実認定のために刑事裁判で活用すべきだとし、検察側には積極的な証拠開示を求めた。

そのうえで、評価に当たっては「科学の持つ権威から、必要以上に価値を重大視してしまう危険性がある」と警告。科学的証拠だけに頼らず、他の証拠とあわせて総合判断し、事実認定を行うべきだと注意を促した。

一例として、被告が犯人かどうかが争われている事件で、現場の遺留物から被告と同じ型のDNA型が検出されたケースを考察。被告が犯人だと認定するには、DNA鑑定結果だけでは不十分で、遺留物を残したのが犯人だと他の証拠から証明されなければならない、と解説した。

DNA鑑定については、現在主流となっている鑑定方法が「解析技法としては完成の域に達している」と指摘。ただ(1)異物の混入がないか(2)鑑定方法は正しいか(3)証拠の捏造(ねつぞう)はないか――など、鑑定の適切さを入念にチェックする必要があるとした。

足利事件や東京電力女性社員殺害事件など、科学的証拠の当時の評価が最新技術で覆り、再審無罪となる例が近年相次いでいる。研究報告は、最高裁司法研修所に委嘱された現役裁判官3人と法医学の専門家が約2年半かけてまとめた。

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