猪瀬知事、徳洲会からの借用証公表 辞任を否定
猪瀬直樹東京都知事(67)が徳洲会グループから5千万円を受け取っていた問題で、猪瀬知事は26日午前、都庁内で記者会見し、資金提供を受けた際に徳洲会側に渡したとする借用証を公表した。猪瀬氏は徳田毅衆院議員(42)から資金を受け取った際に「同議員から借用証に署名を求められた」と説明した。
会見の冒頭で猪瀬氏は「都民、都庁職員、都議会の皆様に多大な心配、迷惑をかけた」と謝罪。進退については「仕事はちゃんとやらせていただきたい」と辞任の意思はないことを強調した。
猪瀬氏の公表した借用証はA4判の大きさ。「平成24年11月20日」との日付のほか、徳田議員の名前、金額の5千万円、猪瀬氏の住所と署名が記載されていた。借用証は今年9月26日に5千万円を返済後、徳田議員側から郵送で返却されたという。
猪瀬氏は「資料を改めて確認した。経緯を説明したい」と時折、用意した手元の紙に目を落としながら説明した。右手に借用証を掲げながら「(5千万円は)選挙の資金ではない。個人的な借金」と繰り返し強調。ただ、借用証の入っていた消印付きの封書など、客観的に日時を表す資料などは示さなかった。
猪瀬氏によると、知事選直前の昨年11月6日、同会の創設者、徳田虎雄氏(75)と面会した。20日に東京・千代田の衆院第1議員会館内にある徳田議員の事務所を訪れ、5千万円を受領。同議員の用意した借用証に署名したという。
5千万円は猪瀬氏がかばんに入れて持ち帰り、妻名義の貸金庫で保管。今年1月下旬、徳田議員に返金の意思を伝え、2月4日に返金方法を協議すると決めたが、その前日になり、同議員から断りの連絡があった。
8月23日に妻名義の貸金庫を開ける手続きを取ったうえで、同議員に連絡して返済日を9月26日とした。猪瀬氏の特別秘書が同日、都内のホテルで虎雄氏の妻に現金を返却したという。
猪瀬氏は返済の時期が同日になったことについて「公務などが落ち着いたため」と説明。無利子・無担保で資金を受領したことに対し「金利分を返した方がいいかもしれない」と話した。