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小沢元代表に無罪判決、東京地裁 陸山会事件

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資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の判決公判が26日、東京地裁であり、大善文男裁判長は無罪(求刑禁錮3年)を言い渡した。虚偽記入に関し元代表が元秘書から報告を受け、了承したと認定したが、共謀は認めなかった。また裁判長は検察の捜査を厳しく批判した。判決を受け、元代表は復権に向けた動きを強める見通し。元代表は消費増税に批判的な発言を繰り返しており、関連法案の成立を目指す野田佳彦首相は難しい政権運営を迫られる。

検察官役の指定弁護士は記者会見で、控訴について「これから検討したい」と述べた。強制起訴の事件では、指定弁護士が一審判決に不服の場合、控訴できる。検察では上級庁の高検や最高検とも協議して控訴するかどうかを決めるが、指定弁護士は自らが判決内容を検討し、結論を出す。

2009年5月の改正検察審査会法施行後、市民の判断で強制起訴された被告に対する判決は2例目で、国会議員では初めてとなる。1例目に続く無罪判決で、検察審査会制度のあり方も問われそうだ。

主な争点は(1)政治資金収支報告書への虚偽記入の有無(2)石川知裕衆院議員(38)=同罪で一審有罪、控訴中=ら元秘書3人との共謀の有無(3)強制起訴の有効性――の3点。

大善裁判長は元秘書による虚偽記入を認定した。元代表の関与については、「元秘書から4億円の簿外処理の報告を受け、了承していたと認められる」とする一方で、「収支報告書に記載すべきだとの認識がなかった可能性がある」と述べ、元秘書との共謀までは認めなかった。

「収支報告書は1度も見ていない」とした元代表の法廷供述については「およそ信頼できるものではない」と指摘した。

判決公判のため東京地裁に入る民主党の小沢元代表(26日午前)

判決公判のため東京地裁に入る民主党の小沢元代表(26日午前)

大善裁判長は公判で存在が明らかになった東京地検特捜部検事による虚偽の捜査報告書についても言及。「事件の見立てに沿う供述を獲得することに力を注いでいたとうかがえる」と述べた。

この報告書が強制起訴の判断材料となった点については「検察審査会の判断を誤らせることは決して許されない」と厳しく批判し、「検察庁は作成された経緯や原因の究明について、十分調査の上で対応することが相当だ」とした。

強制起訴の有効性に関しては、「虚偽の捜査報告書を作ることはあってはならないが、証拠の瑕疵(かし)と手続きの瑕疵は別だ」と述べ、有効だと認定した。

元代表は、初公判で「虚偽記入に当たる事実はなく、(元秘書と)共謀した事実は断じてない」と述べるなど一貫して無罪を主張。3月の最終意見陳述では「検察官の妄想から始まった実在しない事件。私にはいかなる点でも罪に問われる理由はない」と訴えていた。

陸山会事件を巡っては、特捜部が10年2月、元代表を不起訴処分としたが、東京第5検察審査会が同年4月、「起訴相当」と議決。同検察審は同10月、「起訴すべき」とした2度目の議決を公表し、指定弁護士が昨年1月、元代表を強制起訴した。石川議員ら元秘書3人は昨年9月の一審・東京地裁判決で有罪判決を受け、いずれも控訴している。

小沢元代表公判の経過
公判回数公判日内 容
初公判2011年
10月6日
初公判で小沢元代表が全面無罪を主張
第2回14日石川知裕衆院議員の隠し録音内容を再生
第3・4回28日石川議員の証人尋問。元代表の関与を認めた供述調書の内容を否定
11月1日
第5・6回30日大久保隆規元秘書の証人尋問。元代表の関与を否定
12月1日
第7・8回7日池田光智元秘書の証人尋問。元代表の関与を認めた供述調書の内容を否定
8日
第9回15日石川議員を取り調べた田代政弘検事の証人尋問。事実と異なるやり取りを捜査報告書に記載したことを認める
第10回16日大久保元秘書を取り調べた前田恒彦元検事の証人尋問
第11回20日会計の専門家の弥永真生・筑波大教授らの証人尋問
第12・13回2012年
1月10日
元代表の被告人質問。「収支報告書は見たことがない」などと発言
11日
第14回2月17日東京地裁が、元代表の関与を認めた石川議員の調書の証拠採用を却下。池田元秘書の調書は一部採用
第15回3月9日指定弁護士が論告求刑で禁錮3年を求刑
第16回19日元代表側が最終弁論で無罪を主張し、結審
第17回4月26日東京地裁が元代表に無罪判決
公判の3争点と双方の主張
指定弁護士の論告小沢元代表側の弁論
(元代表の)4億円を隠すため、元秘書らが確定的故意に基づき虚偽記入した虚偽記入
の有無
合理的な会計処理は明らかで、不記載・虚偽記入とされる余地はない
間接証拠から(元代表の)「指示・了解」は明らか。法廷での弁解は不合理で到底信用できない共謀の
有 無
(虚偽記入に関する元代表の)認識も元秘書との意思連絡もなく、共謀を認定する余地はない
捜査報告書の内容が虚偽だとしても、起訴手続きに違法はなく有効起訴の
有効性
虚偽の捜査報告書で検察審査員を重大な錯誤に陥らせるなどしたので無効

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