JR北海道のレール異常放置、特定部署に集中
保線レベルに差
JR北海道が多数のレール異常を放置していた問題で、異常の放置が保線に当たる44部署のうち15部署に集中していたことが23日、同社への取材で分かった。特に函館線大沼駅構内で19日に起きた貨物列車脱線事故現場を担当している部署の放置数は公表された97カ所のうち23カ所を占め、突出していた。
安全運行に欠かせない保線業務のレベルが部署ごとに異なる実態をうかがわせ、同社の姿勢があらためて問われそうだ。
JR北海道によると、44部署には各地の「保線管理室」のほか、駅に置かれた工務部門がある。軌道検測車と呼ばれる特殊車両を走らせたり、保線員が計測機器を使ったりしてレールに異常がないか調べ、異常が見つかれば補修も行っている。
異常を最も多く放置していたのは大沼保線管理室(北海道七飯町)。次いで苫小牧保線管理室(苫小牧市)が16カ所に上った。このほか当別町の石狩当別駅(14カ所)、遠軽町の遠軽管理室(12カ所)などが続いた。
その一方で、運行本数が多い札幌保線管理室(札幌市)などの29部署では、97カ所に含まれる異常放置はなかったとしている。
野島誠社長は22日の記者会見で、多数の異常放置について「ヒューマンエラーでなく、組織としての観点で見るべき重大な事象だと考えている」と述べたが、具体的な対応策は明言していない。
国土交通省は23日もJR北海道への特別保安監査を続行。この日は札幌市内の本社のほか、札幌保線管理室で大沼保線管理室との業務の進め方に違いがあったかなどを調べるため、聞き取りや検査データの確認をした。〔共同〕