ファイル共有ソフトの「ウィニー」開発者、無罪確定へ
最高裁、検察側の上告棄却
ファイル共有ソフト「ウィニー」を開発し、ゲームなどの違法コピーを容易にしたとして、著作権法違反ほう助罪に問われた元東大助手、金子勇被告(41)の上告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は20日までに、無罪とした二審判決を支持、検察側上告を棄却する決定をした。無罪が確定する。
第三者による違法コピーを助長しうるソフトを開発したことが、ほう助罪に当たるかどうかが最大の争点だった。
同小法廷は決定理由で「著作権侵害に使われる一般的可能性があったというだけでは、ほう助に当たらない」と指摘。具体的な侵害行為が見込まれることや、ソフトを入手する人の多くが侵害行為をする蓋然性が高いことを開発者が認識、認容しており、それを使った著作権侵害が実際にあった場合に限って、ほう助罪が成立するとの判断基準を示した。
そのうえで「被告はウィニーが著作権侵害に使われることを認識していたものの、多くの人が悪用する蓋然性が高いと認識していたとまではいえない。著作権侵害に利用しないよう警告もしていた」として、無罪の結論を導いた。
裁判官5人中4人の多数意見。大谷剛彦裁判官(裁判官出身)は「被告は著作権侵害防止策を講じることなくソフト提供を続けた。かなり広い範囲で侵害行為に利用されることへの認識があった」として、反対意見を述べた。
一審・京都地裁判決は「著作権侵害を十分認識しながら提供を続けており、独善的で無責任」として、罰金150万円(求刑懲役1年)の有罪とした。弁護側、検察側双方が控訴、二審・大阪高裁判決は「ソフトの主要な用途が著作権侵害とはいえない」などとして逆転無罪を言い渡し、検察側が上告していた。
岩橋義明最高検公判部長の話 社会に大きな影響を与えた事件で、検察官の主張が認められなかったことは誠に遺憾。
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