新幹線運行システム、15年間増強せず JR東
大量のダイヤ変更処理できず
東北、上越など5つの新幹線が一時全線ストップした17日の運行システム障害について、JR東日本は18日、雪の影響でダイヤを一度に変えた結果、システムの処理能力を超えたことが原因だったと発表した。処理能力は1995年のシステム導入時から増強しておらず、JR東は設計上不備があったことを認めて謝罪した。
JR東によると、新幹線の運行を管理するシステム「COSMOS(コスモス)」に障害が出る前の17日午前7時~同43分、福島県内の2つの駅で雪のためポイントが切り替わらなくなった。運行本部指令員が列車計24本を約20分の間に各駅に停止させ、コスモスの端末で後続の列車のダイヤ修正を始めた。
コスモスが1分間に表示できる修正箇所は600件だが、この時修正の操作が集中し、上限を超過。その結果、端末の表示が不安定になったという。
同社の新幹線の運行数は、コスモスを導入した95年当時の1日230本から2011年の同320本に増えた。08年にはシステムが更新されたが、処理能力は導入当時のままだった。宮下直人常務は「(容量が)足りると考えていたが、設計上の配慮不足だった。お客様に大変な迷惑をかけ、深くおわびする」と陳謝した。
処理能力の上限に達しないよう操作を制限することもできたが、運行本部の指令員7人は能力に限界があることを知らなかった。
JR東は600件を超えた件数も処理できるようプログラムを改善するなどの対応を取る方針。
トラブルは17日午前8時23分ごろ発生した。東京の運行本部にあるコスモスの端末22台すべてで、各駅の到着時刻や引き込む路線を示すデータがついたり消えたりする異常が起きたため運行を中止。約1時間15分後に全面再開した。
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