ヒッグス粒子発見、論文掲載 ノーベル賞最有力候補に
欧州合同原子核研究機関(CERN)の国際共同グループは、質量(重さ)の起源とされる素粒子「ヒッグス粒子」の発見に関するデータを論文にまとめた。7日付の欧州の物理学誌「フィジックスレターズB」に掲載される。
ヒッグス粒子の存在を唱えた英国のピーター・ヒッグス博士らは、8日に発表されるノーベル物理学賞の最有力候補とみられている。
東京大や高エネルギー加速器研究機構なども参加するCERNの研究グループは、巨大な加速器「LHC」を使い、陽子同士を衝突させる実験でヒッグス粒子の痕跡を調べた。昨年7月にヒッグス粒子のような新粒子を発見したと発表。その後も実験やデータ解析を進め、今年3月、ヒッグス粒子と確定した。
今回はそのデータをもう一度見直し、論文としてまとめた。研究グループの浅井祥仁東京大教授は「論文は7月に投稿し、8月には受理されていた」と話す。
ヒッグス粒子は、宇宙の始まりとされる「ビッグバン(大爆発)」の100億分の1秒後に生まれ、宇宙を満たすことでそれまで質量のなかったほかの素粒子に重さを与えたとされる。物理学の基本ルールである「標準理論」の中で唯一、見つかっていなかった素粒子で、今回の発見により同理論が完成する。