中小企業支援にファンド活用 政府、再生機構と連携
政府は20日、中小企業の借入金返済を猶予する中小企業金融円滑化法が2013年3月に終了するのを踏まえ、業績悪化に直面する中小企業への支援策を公表した。地方銀行などが設立する事業再生ファンドを活用。企業再生支援機構や全国の中小企業再生支援協議会と連携し、企業の経営改善を後押しする。
自見庄三郎金融担当相と枝野幸男経済産業相、古川元久経済財政担当相が同日協議して決めた。円滑化法は09年12月に制定。今年3月までの終了予定を1年延長していた。終了すれば多くの中小企業が再生できず、不良債権になってしまうとの懸念があった。
地銀や中小企業基盤整備機構など官民で再生ファンドを設立。さらに企業再生支援機構や、各都道府県にある中小企業再生支援協議会との連携を強化する。支援機構と協議会は事業再生のノウハウのある人材を増やす。協議会は今年度に約3000件の計画策定をめざす。
金融庁は中小企業支援の動向について金融機関から集中的に聴取するほか、外部機関のノウハウを積極活用するよう監督指針に明記する。
一方、民主党は成長戦略・経済対策プロジェクトチームの中間報告に、支援機構を改組した「日本再生投資基金(仮称)」の創設を盛り込む方針。基金の規模も2兆~3兆円に増額する。
古川経財相は20日の閣議後の記者会見で、同基金について「党から出てきたら検討したい」と話した。ただ「企業再建で官の役割が大きくなれば、民間のノウハウを活用しにくくなる」(大手証券)との声も出ている。