/

吉野家「ちょい飲み店」が人気、その理由は

詳しくはこちら

牛丼店が夕方以降は飲み屋に変身――。吉野家ホールディングスの吉野家が首都圏で始めた「ちょい飲み」店が連日満員状態だという。9月にかけて関西などで拡大する計画もある。牛丼店が始めた飲み屋の実態はどうなのか? 平日の夕方、仕事帰りのサラリーマン客らが楽しむ店を訪れた。

夕方から2階がちょい飲み店に

吉野家が始めたちょい飲み店「吉呑み」。東京に3店あり、連日満員状態だという

吉野家が始めたちょい飲み店「吉呑み」。東京に3店あり、連日満員状態だという

JR五反田駅に近い吉野家の西五反田1丁目店。1階の入り口には「居酒屋」と書かれた大きな赤ちょうちんと「吉呑み(よしのみ)」の看板があり、飲み屋としての雰囲気を醸し出す。1階は牛丼店のままで2階部分だけが平日の夕方以降にちょい飲み店に変わる仕組みだ。午後6時を過ぎると、近くのサラリーマンやOLらが続々と入り、2階の合計22席はすぐに埋まった。

「吉野家で酒が飲めるとは不思議で面白い」「早くてうまいイメージもあるからね」。ビールジョッキを手にした男性客に話を聞くと、こんな言葉が返ってきた。つまみのメニューは吉野家らしい「牛皿」や「牛すい」などのほか、「マグロの刺し身」や「メンチカツ」などがある。刺し身が運ばれると「なんで吉野家にマグロがあるんだよ」と言いながら、携帯電話で撮影する人もいた。

吉呑みは昨年7月、居酒屋激戦区の神田で実験店として登場。狙いは「夜間の遊休スペースをいかに埋めるか」(吉野家の門脇純孝専務)だった。

吉野家の夜の来客数は、昼の半分から3分の1程度。全国にある約1200店のうち約50店は1階と2階の2フロアからなる造りで、夜は2階に客が全くいないこともあるという。

吉呑みでは1人客とグループ客とでは滞在時間が大きく違うが、「客単価は1500円程度」(同)。神田店は改装に数百万円かかったが、吉呑み効果でずっと続いていた赤字から黒字に転換。今年6月、八重洲と五反田でも吉呑みを始めた。

「牛皿」のほか意外なメニューも安い

特徴は、「うまい、やすい、はやい」という吉野家のキャッチフレーズにたがわず、約20種類のつまみの値段を100~500円程度に抑えていることだ。安く提供できる理由は、新規に調達先を開拓せず、数あるグループ企業を活用しているからだ。

マグロの刺し身はグループのすし店「京樽」から、メンチカツは総菜の「おかずの華」から入手している。ステーキ店「どん」からすじ肉を仕入れて生まれた「牛すじ煮込み」は人気メニューとなった。通常の食材と一緒に運ぶので物流費は増えない。刺し身はあらかじめカットしてあり、店での調理が不要なので店員の新たな教育もいらない。

エヌピーディー・ジャパン(東京・港)の調査によると、2013年に居酒屋で飲食した消費者は09年と比べて11.2%減。これに対し、13年に滞在時間60分以内のちょい飲み店を利用した消費者は前年比3.5%増と試算している。

吉野家は8月末から9月にかけて首都圏で5店、大阪と名古屋で1店ずつ吉呑みを増やす。今後数年のうちに全国で30店程度に展開する計画だ。

順調な船出のようだが、吉野家はかつてドーナツやラーメンにいったん参入したものの撤退した歴史を持つ。「牛すき鍋膳」をヒットさせた際には競合他社が同様の商品を投入したように、今後の競争激化は不可避ともいえる。吉野家の門脇専務も「話題性だけではすぐに飽きられてしまう」と覚悟している。メニューの一段の拡充など、次の一手も不可欠になってくるだろう。(映像報道部 近藤康介)

初割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
初割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
初割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
初割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
初割で無料体験するログイン
エラー
操作を実行できませんでした。時間を空けて再度お試しください。

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_