タイ、日本への渡航自粛要請 新型肺炎でASEAN初
【バンコク=岸本まりみ】タイ政府は日本とシンガポールへの渡航自粛を自国民に呼びかけた。新型コロナウイルスによる肺炎が拡大しているため。すでに韓国が同様の措置に踏み切っているが、東南アジア諸国連合(ASEAN)での自粛要請は初めて。タイは訪日観光客数で6位で、渡航自粛の呼びかけは日本の観光業に影を落としそうだ。
タイ保健省は17日、両国への不要不急の渡航を延期するよう自国民に呼びかけた。渡航する場合には予防を徹底し、帰国時には検疫ガイドラインに従うよう要請している。
団体旅行についても自粛を呼びかけた。訪日タイ人は増加を続けており、2019年には131万9千人と全訪日客の4%を占めた。タイ旅行代理店協会によると、タイ政府から正式に通達はきていないが、新規の団体旅行の企画は凍結する方針という。
すでに旅行者の敬遠ムードは広がっている。ある在タイの日系観光関係者は「2月上旬から予約のキャンセルが増え、新規の予約の入りも鈍っている」と話した。
タイでは18日時点で35人の感染者が確認されている。タイ保健省は入国時の検疫強化の対象に日本とシンガポールからの航空便の利用者を加えることも決めた。これまで中国、香港、台湾を対象としていたが、感染拡大を受けて対象を広げた。