「打高投低」返上へ奮起 西武、高橋光らに熱気
プロ野球キャンプリポート
熱のこもった投球につい、引き込まれる。8日の西武のブルペン。辻監督が見守る中、一番端に陣取ったザック・ニール(31)が投球練習を始めれば、1つレーンをあけて高橋光成(23)が力の入ったボールをどんどん投げ込んでいった。
「一球一球を確かめながら投げた。昨季と比べて仕上がりはいい」とニール。4.35と2年連続でチーム防御率がパ・リーグ最下位だった投手陣の中で、昨季は12勝(1敗)をあげ、ピカイチの安定感を誇った右腕の調整は順調。辻監督も「(仕上がりの早さに)驚いた。開幕を狙っている」と信頼感を口にする。
とはいえ、ニール一人に頼ってはリーグ3連覇はおぼつかない。自慢の強力打線も年間最多安打記録を持つ秋山翔吾が米大リーグのレッズに移籍し、今まで通りの破壊力は期待するのは難しい。となれば、投手陣の底上げは欠かせない。
力のある若手はそろっている。辻監督が名前を挙げるのは、昨季も先発を経験している高橋光、今井達也(21)、松本航(23)、本田圭佑(26)の4人。中でも昨季初の10勝(6敗)をあげた高橋光をニールとともに開幕投手候補にあげ、一皮むけたエースへの成長を期待する。
高橋光も承知している。何しろ、昨季は2桁勝利も防御率は4.51と褒められたものではなかった。その投球を「フォークボールに頼りすぎていた」と反省。このキャンプでは右打者に比べて被打率の高かった左打者対策としてカットボールの習得に取り組んでいる。
8日も打者を想定しながら力のある球を100球ほどを投げ込んだ。前橋育英高時代に夏の甲子園で全国制覇を果たし、これまで能力が高く評価されながらも殻を破れずにいた23歳は「開幕で投げたい」と意欲的だ。
高橋光と同じく、作新学院で全国制覇の経験のある今井は8日に始まったシート打撃の1番手で登板し6人の打者に対して被安打1。「まだ構えたところに(球が)いっていない」と自己採点は厳しめだが、6日のブルペンでは180球を投げ込むなど、これまで不安のあったスタミナの強化にも励んでいる。
昨季7勝(4敗)の2年目松本が「僕には実績といえるほどのものはない。だから2年目のジンクスもない」と話すように彼らは成長途上。きっかけをつかめば、大きく化ける可能性もある。
宮崎入りに際し辻監督は「今まで通りでは勝てない。一人ひとりがチームを引っ張るつもりでキャンプに臨んでほしい」と奮起を促した。高橋光ら若獅子たちが、チームを引っ張る存在に成長すれば、リーグ3連覇が現実味を帯びてくる。(馬場到)