三菱重工、ボンバルディア小型機事業を買収 590億円
三菱重工業は25日、カナダの航空機大手ボンバルディアから小型機「CRJ」事業を買収することで合意したと発表した。5億5千万ドル(約590億円)で事業を取得し、2億ドルの債務も引き受ける。ボンバルは民間旅客機事業から撤退し、ビジネスジェットや鉄道事業に経営資源を集中する。
三菱重工はボンバルのCRJ事業の保守や顧客サポート、販売、型式証明などを継承する。米国とカナダの4カ所のサービス拠点も引き継ぐ。三菱重工が傘下の三菱航空機で開発し、2020年半ばの納入を目指す90席クラスの「スペースジェット(旧MRJ)」の拠点として使う。
三菱航空機は米法規制に対応した70席クラスの新機体「スペースジェットM100」の開発概要も明らかにしている。CRJは100席以下の航空機市場で3~4割のシェアを握る。三菱重工は自社で拠点を整備するより、既存顧客との接点をもつCRJの拠点を活用した方が利点が大きいと判断した。
買収は米当局などの承認を経て、20年上半期に完了する見通しだ。両社の交渉の焦点だったCRJの機体製造はボンバルに残り、部品供給などを継続する。機体製造は20年後半に終える見通し。
CRJはボンバルディアの主力小型機だ。客席数は50~100席、運航機数は約1200。同社は100~150席の小型機「Cシリーズ」の開発負担増などを背景に経営不振となり、同事業を欧州エアバスとの合弁会社に切り替え、同事業は事実上エアバス傘下となった。
小型機市場をめぐっては競争が激化している。格安航空会社(LCC)の増加などで需要が増す一方で、開発負担が増加しており、ブラジルのエンブラエルの小型機事業は事実上米ボーイング傘下に入る。
三菱重工はボンバルの小型機事業の取得により、今後はボーイング・エンブラエル連合と競合することになる。
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